J2終盤戦突入 V長崎 逆転昇格へ 残り試合で10勝必要か

逆転昇格のカギを握るV長崎の攻撃陣。ルアン(中央)や新加入のエジガルらが本来の力を発揮したい=トランスコスモススタジアム長崎

 サッカーJ2リーグは残り試合数が3分の1を切り、V・ファーレン長崎は現在3位でJ1昇格争いを繰り広げている。今月までアウェー続きで足踏みが続いたが、昇格圏(2位以内)に手が届く位置を維持しており、11、12月は13戦中9戦が得意のホームゲーム。強力な新戦力も加入して、逆転昇格への道筋は整っている。

■「80」目安に
 終盤戦に差しかかり、昇格候補は絞られてきた。12連勝を含めて、現在15戦負けなしの福岡が首位を走る。勝ち点を「59」まで伸ばし、頭一つ抜け出した形だ。
 今季連敗がない徳島が「56」で2位に続き、序盤の貯金が生きているV長崎が「51」で3位。「47」の4位北九州は現在9戦勝ちなしと元気がない。「45」で並ぶ5位新潟と6位甲府も何とか望みをつないでいる。
 昇格するチームは例年、最終的に勝ち点「80」前後を積み上げている。V長崎が条件をクリアするためには、残り13試合で10勝程度が必要という計算になる。上位との勝ち点差を考えると、福岡よりも3試合多く勝たなければならず、得失点差で有利な徳島を逆転するためにも、やはり勝利数で3勝は上回っておきたい。
 常に勝ち点3が求められるタフな期間が続くが、11月からはホーム戦が多く、V長崎は本拠地で今季8勝2分け2敗と勝率が高い。終盤の追い上げで初昇格を決めた2017年シーズンの再来が期待されている。

■カギは得点
 V長崎が昇格を果たす上で、条件となってくるのが決定力不足の解消だ。停滞した9、10月は14試合中、複数得点は4試合。逆に無得点は5試合あった。遅攻に速攻を織り交ぜて敵陣深くまでは進入できるが、最後のクロスやフィニッシュの精度がなかなか上がらず、チャンスを棒に振るシーンが目立っていた。
 ただ、ここに来て明るい兆しも見えてきた。
 クラブは29日、昨季のJ1覇者、横浜MからFWエジガル・ジュニオの獲得を発表。昨年16試合で11ゴールと高い決定力を誇ったブラジル人ストライカーが、終盤戦のキーパーソンになることは間違いないだろう。
 プラス要素はまだある。攻撃の中心となるイバルボが前節、5試合ぶりに戦列復帰。前半戦に4ゴールと活躍していた大竹も、第19節の負傷から復調してきている。ここまで思うような結果を出せていないルアンも含め、前線の選手が本来の輝きを見せれば、V長崎はJ1勢に引けを取らない攻撃力を発揮できるはずだ。
 ホームのトランスコスモススタジアム長崎(諫早市)は現在、8300人が来場できるまでに入場規制が緩和され、11月1日の第30節水戸戦からはアウェー席も開放される。クライマックスに向けて熱を帯びてきたトラスタから、V長崎の逆転昇格ドラマが始まる。

 


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