渡れる!新聞紙のつり橋 工業高定時制の生徒6人、2カ月かけ手作り 使った古新聞3200枚

縄や踏み板が全て新聞紙でできたつり橋。人が歩いても安定感があった=横浜市神奈川区の県立神奈川工業高校

 新聞紙を“建材”にした人が渡れるつり橋を、神奈川県立神奈川工業高校(横浜市神奈川区)定時制の生徒6人が2カ月がかりで手作りし、1日開かれた文化祭で披露した。約3200枚の古新聞を丸めたり縄状に編んだりして、十分な強度を確保。驚きの声を上げる来場者を前に、生徒たちは達成感をかみしめていた。

 橋は長さ4メートル、高さ2メートル。支柱と土台こそ木製だが、丸太状の踏み板と、それをつり下げる縄状の部分は全て新聞紙だ。人が乗るとギシギシと音を立てて揺れるものの、体を委ねられるほどの安定感がある。

 「世界初かも…」(担当の吉川平教諭)という偉業に挑んだ6人は、定時制建設科の3年生。重さ100キロにもなる大量の古新聞を材料に、万能強度試験機を用い、荷重や引っ張られる力に耐え得る部材の仕様を決めていった。

 「縄は、細い筒状に巻いた紙を三つ編みにして作りました。109キロの力に耐えられます」。そう説明するのは、織原弘尚さん(17)。夜間に授業が行われる定時制では、放課後の作業時間は1時間程度に限られる。6人は授業のない土曜日にも集まり、ひたすら新聞紙を巻き続けたという。

 500メートル分の縄、30本の丸太を組み立て橋が完成したのは、文化祭の1週間ほど前。渡り初めの大役を担った金城琉歌さん(17)は「緊張したけれど、無事に渡り終えた時はうれしさが込み上げた」と振り返る。将来、大工を目指している下地颯さん(17)は「みんなで一つの物を作る喜びを実感した」と顔をほころばせていた。

© 株式会社神奈川新聞社