「細工ずし」の技 継承 長崎県鮨商組合が研修

細工ずしの魅力を伝えた(左から)林さん、野瀬さん、庄司さん=長崎市内

 長崎県鮨商生活衛生同業組合(木本太市理事長)は10月27日、季節感や風情を表現し、すし職人の包丁技術の高さを示す「細工ずし」の魅力を発信し、技術を継承しようと、料理人や料理研究家らを招いた研修会を長崎市内の飲食店で開いた。
 木本理事長によると、華やかな細工ずしは祝い事の宴席などで喜ばれるが、指導できる人が限られていることなどから、技術の継承に課題があるという。
 講師は、すし職人の技術を競う全国大会で日本一に輝いた経歴がある野瀬泰行さん(37)=史跡料亭花月=と林健一さん(37)=握りのはやし=、優勝に次ぐ金賞を受賞した庄司稔仁さん(30)=タイチ寿司=。約10人が参加した。
 ノリを巻いたすし飯の上にイカとイクラをいくつも重ねて花びらを表現した「紫陽花」、卵の黄身などで3色に色付けしたすし飯を用いて日本の伝統的な模様を再現した「三つ巴」などを実演。すしに添える笹の葉の飾り切りも披露し、繊細な包丁さばきに会場からはため息がこぼれた。
 野瀬さんは「菊が水面に浮かぶ情景など、細やかな表現が細工ずしの魅力。若い人たちにも挑戦してほしい」と述べた。
 ホテルグランドパレス諫早の和食料理人、田中新一郎さん(22)は「実演を初めて見た。盛り付けもきれいで勉強になった」と感想。米国出身のヘスース・ゴンザルベスさん(27)は「感動した。細工ずしを作れる人が増えると、観光客も喜ぶと思う」と語った。

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