長崎初「オンライン修学旅行」 神奈川の高校生 遺構巡り疑似体験

画面越しに自身の被爆体験を語る原田さん(右)=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 新型コロナウイルスの影響で長崎県への修学旅行が減少する中、新たな取り組みとして、県観光連盟などは4、5の両日、ビデオ会議システム「Zoom」などを活用した「オンライン修学旅行」を初めて実施。神奈川県の高校と長崎市内のガイドらをウェブカメラでつなぎ、生徒は学校にいながらにして被爆遺構巡りを疑似体験した。
 オンライン修学旅行に取り組んだのは、藤沢市の聖園(みその)女学院高の2年生82人。同校は毎年、修学旅行で長崎市を訪れていたが、今年はコロナ禍で中止にした。来県できなかった生徒たちに少しでも“生の長崎”に触れてもらおうと、同校と同連盟、長崎国際観光コンベンション協会が各施設と協力して初めて企画した。
 4日は、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館と同校講堂をつなぎ、被爆者の原田美智子さん(81)の講話を配信。講堂に集まった生徒らはメモを取るなどして熱心に耳を傾けた。浦上天主堂では、解説する長崎平和ガイドの歩みを追うように、撮影スタッフがウェブカメラで中継。崩落した鐘楼や天主堂内の見学を疑似体験した。
 事前に学校へ送付した材料を使い、長崎ガラスの製作体験も。5日は出島や旧出津救助院を巡り、活水高の生徒と交流する予定。県観光連盟は「修学旅行に限らず、長崎を全世界に発信する新たなツールとして磨いていきたい」としている。

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