松田優作さん、魂の叫び ラストライブ音源が初CD化

松田優作「LAST LIVE」のジャケット(ディスクユニオン提供)

◆横浜が舞台、主演映画の劇中歌も
 強烈な個性を放ち40歳で死去した俳優・松田優作さんが、歌手として最後のステージに立ったライブを収めたアルバム「LAST LIVE」が4日、発売された。1989年11月6日の死去から31回目となる命日を前に、妻の美由紀さんは「肉体がなくても、声を聴くと優作が立体的に浮かび上がってくる。音の記憶を感じてほしい」と話している。

 87年4月発売のアルバム「松田優作 D.F. NuanceBand」を記念した全国ツアーで、同年5月12日に大阪で開催したライブの音源を美由紀さんが監修。横浜が舞台の主演映画「ヨコハマBJブルース」の劇中歌「灰色の街」など、23曲のライブ音源が初めてCD化された。

 ツアーには横浜中華街を拠点に活動している「灰色の街」の原作者でギタリストの李世福(りせいふく)さん、ロックバンド「シーナ&ロケッツ」のベーシスト奈良敏博さんらも参加している。

 アルバム制作中は、役者の仕事を入れないなど、音楽に真剣に向き合っていたという松田さん。新作のレコーディングごとに新しい手法を取り入れ、役づくりと同様に楽曲作りにも情熱を傾け続けたという。

 アルバムに収めたフォトブックの写真を撮影したカメラマン・渡邉俊夫さんは「『1ステージごとに死んでも良いと思ってやっている』と話していた」と在りし日の松田さんを振り返り、「魂の叫びを体感してほしい」と呼び掛けている。

 アルバムはCD2枚組、42点の写真を収めた冊子付きで5148円。

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