長崎県誘致企業「ITで長崎に貢献」 シーエーシー 事業拡大へ

新型コロナに対応しDXやワーケーションに意欲を示す西森社長=長崎市元船町、CAC長崎センター

 長崎市に昨夏進出したIT企業シーエーシー(東京、CAC)の西森良太社長は5日、長崎新聞社の取材に応じ、新型コロナウイルス流行下で注目されるデジタルトランスフォメーション(DX)の実証実験やワーケーションに県内で取り組む意欲を示した。
 CACは企業の人事給与業務を受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業のほか、製薬企業や金融機関のシステム開発、運用を手掛けている。県の誘致を受け昨年7月、初の地方拠点として同市元船町のビルに長崎センターを開所した。
 コロナによる業績への影響について、西森氏は「IT投資を先送りする業種もあり、売上高は多少減った。一方で、業務のアウトソーシング(外部委託)やニアショア(地方企業への業務発注)のニーズが増えたのは追い風」という。長崎センターは来年、BPO担当を21人から35人以上に増員予定。9人が従事するシステム開発も取引先が3社に増える。開設5年で100人の雇用を計画しているが、「1年前倒しのペース。システム開発はいずれ新卒採用もしたい」と話す。
 長崎センターでは7月、社員1人が感染。テレワーク(在宅勤務)を一時導入したり、座席の間隔を広げアクリル板で仕切ったりした。コロナ対応支援で全社員に毎月5千円を支給している。
 西森氏はコロナ禍を「今まで動かなかったことが動きだした」と前向きに捉え、IT活用で組織やビジネスモデルを変革する「DX」のサービスを長崎で提供する意欲を示す。農業や水産業など地方特有の課題解決に向け行政機関や大学と連携し、実証実験を行う。また、本社社員の7割がテレワークをしている状況を踏まえ、休暇先で働くワーケーションを雲仙市対象に検討している。西森氏は「外の文化を積極的に受け入れる長崎の風土は魅力的。ITで地域に貢献したい」と語った。

© 株式会社長崎新聞社