リノベーションでレトロモダンな空間を実現|メリット・デメリットとリノベのポイント、おしゃれな事例を紹介

レトロとモダン、両方の良さを兼ね備えた「レトロモダン」なインテリアスタイル。古い物と新しい物を組み合わせ、互いを引き立て合うコーディネートによって、個性あふれるおしゃれな空間をつくることができます。ここでは、レトロモダンなリノベーションについてメリットとデメリットのほか、あえて築古物件を選ぶ場合に注意したいことや、おしゃれな実例を紹介します。

レトロモダンな住宅の特徴

古い物と新しい物、両者の良さを引き立て合うセンスが特徴的なインテリアスタイル「レトロモダン」。昔懐かしさを感じるレトロスタイルと、洗練されたモダンスタイル、これらの相反する要素によって調和がもたらされた、独特のデザインが魅力です。

昨今では、築年数の長い物件を活用した「古民家カフェ」をはじめとして、レトロモダンなスタイルに人気が集まっています。しかし、正反対なふたつのスタイルを上手に組み合わせるには、コツが必要です。まずは、レトロモダンなインテリアコーディネートを作るポイントを紹介します。

昭和のノスタルジックな雰囲気を現代の住宅として残す

人気のレトロモダンスタイルを実現するために、改めて注目されているのが築古物件です。一般的に、市場では築年数の浅い物件のほうが好まれやすい傾向にあります。新しい物件ほど建物や設備の状態が良いと考えられるためです。

しかし、住宅をレトロモダンスタイルに仕上げるなら、あえて築古物件を選ぶのもひとつの手です。築年数が長い物件のなかには、昭和のノスタルジックな雰囲気が残されたものも多く、その古さが却って“味わい深さ”として評価される場合があります。そんな築古物件を、現代的なセンスのもとでインテリアコーディネートすれば、憧れのレトロモダンスタイルが完成します。

古い素材や和室を活かしておしゃれなデザインにする

レトロモダンスタイルでは、日本の伝統的な住まいの要素を活かして、現代の感覚にもマッチするようなアレンジが可能です。年季の入った照明や建具などの古いインテリア、古民家に特有の間取りといった古風な要素を、より魅力的なデザインに仕上げられます。

一般的なリノベーションでは取り壊したり捨てたりするような素材を、あえて残したり別の部分で採用したりできるのは、レトロモダンスタイルならではの醍醐味。今ある物を最大限に活用するからこそ、コストを抑えながらおしゃれなデザインを実現できます。レトロモダンスタイルには、明白な定義がありません。自分なりのテーマに合わせて、オリジナリティあふれるレトロモダンな空間を創作しましょう。

レトロモダンなリノベーション事例

i_dadodoさんのインスタグラムより

最後に、レトロモダンなリノベーション事例を紹介します。古い物と新しい物が調和した、個性あふれる空間。自分だけのレトロモダンスタイルを叶えるために、おしゃれな事例からヒントをもらいましょう。

木目が美しいキッチン

akiretro_houseさんのインスタグラムより

毎日、家族が一緒に食事をするキッチンやダイニングには、温かみのある木材をふんだんに採り入れましょう。ナチュラルな木目の風合いを楽しめるインテリアの数々は、レトロテイストにもモダンテイストにも、自然と馴染みます。あえて古材を使うのもおすすめです。

タイルと木材の相性が抜群の洗面所

akiretro_houseさんのインスタグラムより

古くから日本の民家で水回りに使われてきたタイル素材を、洗面所に採用したコーディネートです。昭和レトロを思わせるタイル素材ですが、使い方次第では一気にモダンな印象に仕上がります。レトロモダンスタイルでは、木材と組み合わせて洗練された空間を作りましょう。

木製の室内窓でレトロ感を引き立たせる

akiretro_houseさんのインスタグラムより

室内に設置して空間を仕切る「室内窓」は、おしゃれなインテリアとして近年人気があります。レトロなデザインのすりガラスを選んで、アクセントにするのもひとつの手です。古い民家でよく見られる木製の窓枠を、室内窓に採用してレトロ感を引き立たせましょう。

壁紙の素材にこだわる

akiretro_houseさんのインスタグラムより

空間の大部分を占める壁紙は、インテリアコーディネートのベースとなる大事なポイントです。レトロモダンスタイルと相性のいい素材を選びましょう。レンガや珪藻土といったナチュラルな素材は、生活空間のなかに安らぎや落ち着きをもたらしてくれます。

温かみのあるリビング・ダイニング

monocla.co.jpさんのインスタグラムより

居間と食堂が合わさったリビングダイニングは、家族団らんの時間を大切にしたい方におすすめの間取りです。レトロモダンスタイルでコーディネートすると、ホッとするような温かみのある空間に。デザイン性と過ごしやすさを重視する方にもおすすめです。

味わい深さのある階段の素材

戸建ての築古物件には、昔懐かしい階段が残されていることも。リノベーションでは、あえて古い物を活かすのもひとつの手です。味わい深い階段とモダンな要素を組み合わせて、レトロモダンに仕上げましょう。古さと新しさの融合から、ほかにはない魅力が生まれます。

レトロモダンを取り入れるメリット

リノベーションでレトロモダンを取り入れると、多くのメリットが期待できます。今ある物を大切に長く使いたい方や、コストを抑えながらおしゃれな空間づくりがしたい方、細部までインテリアコーディネートにこだわりたい方におすすめです。

自分のこだわりをつめて満足度の高い住宅がつくれる

レトロモダンスタイルなら、自分のセンス次第で個性豊かで使い勝手のいい住宅をつくれます。インテリアコーディネートにこだわって満足度の高い仕上がりを追求したい方におすすめです。現代的な家具やアンティークの古い家具を採り入れ、好みに合うお気に入りのアイテムや、多様な表情の素材をたくさん集めることで、世界にひとつだけの絶妙なインテリアコーディネートを楽しみましょう。

温かみのある、落ち着く空間ができる

レトロモダンスタイルでは、古い物から漂うレトロ感のなかに、温かみや落ち着きを感じられます。日常生活を送りながら、おしゃれで非日常的な雰囲気を味わえるのが魅力です。まるで昭和時代にタイムスリップしたかのような、不思議と安心できる空間。その一方で、モダンなセンスを備えた新しい物のなかにも、ホッとする要素を見出だせるスタイルであるため、落ち着きのある生活空間に仕上げたい方におすすめ。

古材を再利用・残すことでコストを抑えられる

レトロモダンスタイルのリノベーションでは、物件に含まれる古材をあえて再利用したり、残したりして施工します。また、建物の間取りを変更したり解体したりせずに、今ある物を十分に活用する方法を検討できるのがメリットです。こうして古材を大切に使うと、施工費用の削減が期待できます。低コストでおしゃれなリノベーションができるのは、レトロモダンならでは。工夫してコストカットを実現しましょう。

レトロモダンを取り入れるデメリット

レトロモダンのリノベーションには、人によってはデメリットと捉えられる部分もあります。とくに、将来的に模様替えの予定があり、インテリアスタイルを変えて楽しみたい方は、事前に検討しておきましょう。

内装のデザインを他のものに変更しにくい

レトロモダンスタイルは、あえて築古物件を選ぶことで、内装とインテリアに統一感を出せるのが特徴です。その一方で、築年数の長い物件は内装のデザインを大幅に変えるのが難しく、インテリアスタイルのジャンルを変えにくいというデメリットがあります。建物自体がレトロな雰囲気の場合は、似合うスタイルが限定されがちです。長い目で見て物件とインテリアスタイルを選ぶようおすすめします。

レトロモダンな雰囲気を演出できる素材やアイテム

レトロモダンな雰囲気を演出するなら、昭和時代を思わせる天然木やタイル素材、古めかしい照明器具などのアイテムを使うのがおすすめです。ここでは、それぞれの素材やアイテムの特徴を紹介します。

経年変化を楽しめる「天然木」

自然素材である天然木は、素朴な雰囲気や温かみのある質感が特徴です。日本の住宅で伝統的に使われてきた素材であり、築古物件では壁材・床材・天井材のほか、テーブル・イス・チェストなどの木製家具に用いられている場合があります。

近年は、経年変化を楽しめる無垢材を使用する住宅も増えています。無垢材は、天然の木材を接着せずそのまま使用するのが特徴で、ナチュラルな見た目や肌触りのほか、長く使い続けられる点でも高く評価されています。築古物件のリノベーションでは、元の住宅に使われていた古材である天然木を活用する方法もあります。年季の入った古い木材を、あえてレトロモダンの演出に採り入れましょう。すでに経年変化した状態の木材を入手できるのは、築古物件のリノベーションならではのメリットです。

無垢材フローリングについて詳しく知りたい方はこちら
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豊富な種類がそろう「タイル素材」

建物の内装に使われるタイル素材は、国内では江戸後期から昭和初期にかけて普及したといわれ、レトロスタイルを象徴する素材のひとつです。かつては多くの民家で、水回りを中心としてタイル素材が使用されていました。

陶磁器製のタイルは、変色・変質・劣化しにくく、かつ防水・防火・耐熱性能があるのが特徴です。清掃しやすく耐久性に優れていることから、長く使い続けられる素材として知られています。そんなタイル素材ですが、現代においてもインテリアにこだわる方から根強い人気があります。

レトロモダンスタイルに採り入れるなら、昔懐かしい昭和時代のタイル素材を選ぶのがおすすめです。焼き物の技術から生まれたタイルには、幅広いカラーやフォルムの選択肢があり、優れた意匠のものが多く見つかります。タイルの張り方次第で、表現できるデザインの可能性が広がるのもポイントです。

レトロな雰囲気を引き立たせる「照明器具」

照明器具は、部屋の雰囲気づくりに欠かせない重要なアイテムのひとつです。レトロモダンスタイルに仕上げるなら、昭和時代を思わせるシンプルで素朴なデザインの照明器具を選びましょう。その際は、天井から吊り下げるタイプのペンダントライトや、テーブルやチェストの上に置くタイプのスタンドライトを採り入れると、懐かしさや温かみを感じる空間を演出できるためおすすめです。

とくに、裸電球の見た目を活かしたデザインの照明は、レトロ感が満載。築古物件に元から設置されていた照明器具をそのまま使うほか、レトロ風なデザインの照明器具を新たに購入する方法もあります。現代の照明器具でも、黄色みがかった電球色の蛍光灯や電球を使うことで、温かみのある空間に仕上げられます。リラックスできるレトロモダンな部屋づくりでは、ぜひ電球の色にもこだわってインテリアコーディネートをしてみましょう。

リノベーションでレトロモダンを導入する際の注意点は?

リノベーションでレトロモダンスタイルを導入するときの注意点を紹介します。予算の範囲内で施工を済ませて、築古物件でも長く安全に暮らすために、以下のポイントに注意しましょう。

家具や小物、素材にこだわりすぎるとコストがかかる

レトロモダンスタイルのリノベーションでは、築古物件に残るものを十分に活用すると、コストを抑えられる可能性があります。しかし、家具・小物・素材などに自分のこだわりを詰め込みすぎると、多くのコストがかかる点に留意しましょう。アンティークやヴィンテージの家具や小物のなかには、高価な一点ものの商品もあります。デザイン性に優れて希少価値が高いアイテムは、インテリアの完成度を高めるために、ついたくさん集めたくなることも。あくまで予算の範囲内に収まるように、余裕をもってリノベーションの計画を立てましょう。

基礎部分が弱っていると耐震性や断熱性の不安も

レトロモダンスタイルでは、あえて築年数の長い築古物件を選ぶという選択肢もあります。一方で、古い住宅の購入や賃貸では、建物の安全性を見極める必要があります。建築基準法における耐震基準は、1981年6月1日に大きな改正が行われ、新耐震基準となりました。これ以前の基準は旧耐震基準と呼ばれ、建物の構造が現行の基準を満たしていないことになります。

さらに、築年数が長いと基礎部分が劣化しているケースも。上記の理由から耐震性に不安のある物件は、リノベーションの前に家全体の耐震補強工事を行うようおすすめします。また、築古物件の建材や建具は十分な断熱性能を備えていない場合があり、冷暖房効率が低下しがちです。常に快適な室温を保ち、省エネにつなげるためにも、リノベーションの機会に省エネ改修を検討しましょう。

古い部分の構造や基礎部分の状態を確認する

レトロモダンな雰囲気にぴったりな築古物件は、築浅物件と比べてリーズナブルに利用できる一方で、メンテナンスの費用が高額になりやすいという問題があります。リノベーションを前提として戸建てや中古マンションを探すなら、豊富な知識と経験を持つプロに相談したほうが安心です。

とくに構造や基礎部分の劣化や衛生面については、素人目には判断が難しいケースも多く見られます。築古物件の内見では、内装や外装だけでなく、構造や基礎の状態、水回りや電気設備の状態も含めてチェックするのが大切です。見た目や価格の安さなど一時的な評価で判断するのは避けて、長い目で見て購入や賃貸の決断をしましょう。

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