「高効率設備に更新を」 長崎県と西海市 松島火電で国に要望

安藤事務次官(中央)に要望書を手渡す平田副知事ら=経産省

 長崎県と西海市は19日、同市の松島火力発電所の高効率設備への更新や江島沖洋上風力発電の促進区域指定を経済産業省に要望した。政府が2030年までに非効率な石炭火力を削減する方針を示す中、松島火力発電所は停止や廃止の可能性が取り沙汰されており、高効率の施設に生まれ変わることでの“存続”を訴えた。
 電源開発(Jパワー)の渡部肇史社長は10月の会見で、二酸化炭素(CO2)排出が多い非効率な石炭火力発電設備に関し「30年にかけ退役することになる」と表明。対象になり得る施設として松島発電所などを挙げた。
 要望はこうした動きに対し、地元の考えを伝えるため平田研副知事と杉澤泰彦市長、平野直幸市議会議長が上京。金子原二郎参院議員が同行した。
 安藤久佳事務次官と面会した杉澤市長らは、松島発電所が雇用や地元企業への発注など、地域経済になくてはならない存在になっている点を強調。高効率の施設に生まれ変わり、江島沖の洋上風力発電の実現と併せれば、政府が掲げる50年の脱炭素社会の実現に向けたエネルギー政策に貢献できる地域になると訴えた。
 安藤事務次官は「地元の声をしっかり受け止めて議論していきたい」と応じたという。

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