52年ぶりに行政代執行、住宅撤去 横浜環状南線巡り県

行政代執行の開始を宣言する県職員ら=27日午前8時半ごろ、横浜市栄区

 横浜市金沢区と戸塚区を結ぶ自動車専用道路の建設を巡り、県は27日、同市栄区飯島町の建設予定地にある個人宅について、土地収用法に基づき所有者に代わって解体・撤去する行政代執行に着手した。県によると、住宅撤去の行政代執行は1968年に箱根町で実施されて以来52年ぶり。

 現場は2025年度の開通が予定される高速横浜環状南線の釜利谷JCT~戸塚IC(仮称)間。60代男性が所有する2階建ての木造住宅と物置などで、現在は住んでいないという。

 県によると、国土交通省と東日本高速道路が18年間にわたり男性と交渉を重ね、任意買収と自主撤去を求めてきたが、男性は道路事業に反対して了解しなかったとしている。

 18年2月に県収用委員会が行った明け渡し裁決で定められた期限(同年10月)を過ぎても土地の明け渡し義務が履行されないことから、同社などが20年6月、県に代執行請求を行った。

 この日は、県職員が現場で代執行開始を宣言。住宅内から家具などを搬出する作業を行った。12月22日までに建物などの撤去を終了する予定。約600万円を見込む撤去費用は男性に請求するという。県の担当者は「事業者が男性と長く交渉してきたが協力いただけず、代執行に至ったのは遺憾。法令に基づき適正に実施する」と話した。

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