大賞は「3密」

 「はやりものは、すたりもの」と言う。大半の流行語は旬を過ぎれば「すたりもの」になるだけだが、中には長寿の言葉もある▲小社が25年前に発行した戦後史の本をめくってみると、年ごとの流行語が並んでいる。「PR」がはやったのは68年前、「インスタント」は60年前、「カラオケ」は43年前で、今や生活にすっかり溶け込んでいる▲今年生まれた言葉の寿命はどうだろう。新語・流行語大賞がきのう発表された。10選にはコロナ関連が目立ち、やりたいことを自粛したり、人と距離を置いたり、在宅の時間が増えたりと、身をすくめるようにして過ごした1年を思い起こす人も多いだろう▲大賞は「3密」に決まった。密閉(換気しづらい、換気できない)、密集(大勢が密集する)、密接(近くで会話する)を表すが、生活する上で「避けるべき行動」がはやり言葉になった例は、ほかに覚えがない▲流行語としての寿命は1年限りでいいのに、実際は「3密を避けよう」という呼び掛けがまだまだ続く。生活の隅々に定着させ、絶えず実行するほかない▲流行語10選には、このまま進むか一時停止か、行方が問われる「Go To キャンペーン」もある。帰省などが○○に入る「オンライン○○」もある。「すたりもの」にはまだ、したくてもできない。(徹)


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