諫早市長選 三つどもえへ 長崎県議補選、同日実施の可能性

 来年3月28日投票の諫早市長選に、大久保潔重県議(54)=同市区、4期目=が7日、出馬する意向を示し、既に表明している新人で元国土交通省職員、山村健志氏(46)と3期目の現職、宮本明雄氏(71)との三つどもえの公算が大きくなった。大久保氏の県議辞職時期次第では、県議補選と諫早市長・市議選との「同日選」の可能性があり、事態は混沌(こんとん)としてきた。

 市長選は、山村氏が経済界の一部の支援を受け、7月に出馬意向を示し、朝のつじ立ちや市民との対話集会、会員制交流サイト(SNS)での発信など懸命に浸透を図っている。コロナ禍のかじ取りを求める声に後押しされ、宮本氏が11月20日、4選出馬を表明。この間、大久保氏も活動を活発化させていた。
 公選法上、県議は同一選挙区で2人以上の欠員になった場合、補選が50日以内に実施される。諫早市区(定数4)は5月、中村和弥氏が政務活動費を巡る問題で辞職し、欠員1に。大久保氏の市長選出馬に伴い、県議を辞職、または自動失職すると、同市区は欠員2となり、50日以内に補選が実施される。
 注目されるのが、大久保氏の県議辞職時期。大久保氏が3月21日の市長選告示と同時に、県議を自動失職した場合、補選は50日以内の5月上旬となる計算。一方、市長選投票日の50日前にあたる2月7日以降の早い時期に辞職した場合、県議補選が市長・市議選と同日実施の可能性がある。この二つのパターン以外でも、状況次第で同日実施があり得るという。
 大久保氏は7日、「退路を断って、辞職する時期は関係者と相談したい」と述べるにとどまった。過去の市長選に落選した前県議が、直後の県議補選に出馬し、復帰した経緯を挙げ、関係者は「覚悟を決めて立候補しないと説得力が違う」と大久保氏に決断を迫る。
 既に県議補選を想定して、元県議や保守系市議、元市議らの名前が浮上し、共産党県中部地区委員会は擁立を検討している。国民民主現職を推してきた別の野党関係者は保守系の議席独占を阻みたい一方で、「中長期的に考えて検討する」と悩ましい。県議補選の結果次第では、自民系会派が分かれている県議会の構成にも影響を及ぼす可能性があり、いずれの選挙戦も激戦必至になりそうだ。


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