【コラム・編集委員室から】俣野秀幸「SDGs宣言」  22世紀を迎えるために

 21世紀に間にあいました―。

 世界初のハイブリッド自動車、トヨタ「プリウス」の発売時の宣伝文句です。1997年のことでした。1960年代生まれの記者が子どものころ、21世紀は遠いかなたで、多くの夢が実現しているであろう光り輝く未来でした。

 では、22世紀はどうか。50代となった今、「生きているわけがない」と思考は停止します。しかしこの前ふと気付きました。今の中学3年生(15歳)は2101年には96歳です。人生100年時代、22世紀は「人生設計」の射程内であり、そのときの暮らしは現実問題なのです。小学生以下のさらに若い世代ではなおさらでしょう。環境破壊、気候変動、人口減少、一層の国際化と社会の多様化。彼らには22世紀を生きていく覚悟があるはずです。私たち世代はその覚悟に思い至る必要があります。

 本社は創刊80周年に合わせ「宮日SDGs宣言」を行いました。SDGsとは国連が掲げる「持続可能な開発目標」。2030年を目標に定めた全世界共通の行動計画です。そう聞いて、ことを大きく考えると無力感を覚えますが、まずは自分のできることから始めましょう。エコバッグ持参でも自転車通勤でも何でもいい。一人一人のSDGs宣言が大切です。

 22世紀を迎えられました―。彼らは将来、そんなCMを目にするのかもしれません。

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