長崎・佐世保で初のクラスター 「対策、限界感じる」福祉施設、戸惑いと苦悩

 長崎県佐世保市の障害者通所施設でクラスター(感染者集団)が発生した。県内の福祉施設では初めて。障害がある人や高齢者は重症化リスクが高いとの指摘も。他の施設からは戸惑いと苦悩の声が漏れた。
 「できる限り対策しているが、限界も感じている」と明かすのは大村市の知的障害者入所施設の施設長。感覚過敏などの理由で利用者の半数はマスクを着用できず、入浴介助などの際には利用者と職員が密着することも多い。
 数十人が共同生活する入所施設で感染者が出れば、大規模なクラスターになる可能性もある。施設長は「明日はわが身」と危機感を募らせた。
 佐世保市相浦町の特別養護老人ホーム「あいのうら」では9月、職員1人の感染が判明。濃厚接触が疑われる職員らの隔離や利用者への連絡など対応が後手に回った。責任者は「想定訓練をしておくべきだった」と教訓を口にする。11月に面会制限を緩和したばかりだが「見直しも考えないといけない」。
 同市は国の方針に沿って障害者福祉施設に対し感染予防対策を指導。マスクや消毒液などの支給もしてきた。市障がい福祉課の酒井愛課長は「クラスターが発生した以上、対策を検証する必要がある。これまで以上の目配りや気配りが求められる」と話す。


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