新潟県、佐渡市が新潟県上越市で佐渡金銀山の世界遺産登録に関する講演会

世界遺産登録推進県内巡回講演会の様子

新潟県と佐渡市は20日、「佐渡金銀山の魅力と価値を知る」と題した世界遺産登録推進県内巡回講演会を新潟県上越市の上越市春日謙信交流館で開いた。

当初、今年8月から10月にかけて新潟市で連続講座として開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響により中止となった。その代わりに上、中、下越の3会場で講演会を行うこととなり、この日の開催は第3回目となった。

市民など41人が参加し、まず、新潟県教育庁文化行政課世界遺産登録推進室の北村亮専門調査員が佐渡金銀山の世界遺産登録に向けた取り組みの状況について報告した。

それによると、今年3月に推薦書原案改訂版を国へ提出したが、4月のユネスコの世界遺産委員会が新型コロナウイルス感染症の影響で延期となったため、国は6月の世界文化遺産登録の前提となる国内推薦候補の選定を休止した。

今年度は、佐渡市の佐渡金銀山を構成資産とする「佐渡島(さど)の金山」の選定が有力視されていたが、審議は令和3年度以降に先送りとなり、県と佐渡市が目指していた令和4年の世界遺産登録は難しくなった。

令和3年3月に6回目の推薦書改訂版を国に提出し、7月に国の文化審議会世界文化遺産部会で国の推薦を狙う予定。9月に推薦が決定すると、令和4年1月には英語版の推薦書をユネスコへ提出し、秋には現地調査が入る予定で、令和5年6月に世界遺産の登録を目指している。

新潟県教育庁文化行政課世界遺産登録推進室の北村亮専門調査員

その後、佐渡金銀山世界文化遺産学術委員会委員で、公益財団法人大阪府文化財センターの坂井秀弥理事長が、佐渡金銀山遺跡と世界遺産の現在と題して講演した。

坂井理事長は「日本が世界遺産を目指す理由として、現在の課題でもある地域振興を目指しているところが大きい。日本で経済が伸び悩んだ2,000年前後から世界遺産が白熱した。それが新たな地域の見直しをもたらした」と語った。

佐渡金銀座山の特徴として、広さが約740ヘクタールと巨大であったほか、期間も500年間続き、また、生産量も17世紀において世界最大といわれるほどだったことを説明した。

また、「古墳にコーフン協会」などの古墳などに対する女性の視点が文化財の概念を変える可能性があると指摘したほか、最後に、「学者などの専門家、行政、市民が三位一体となって取り組むことこそが最も重要だ。どうやって、文化財を残していくか。皆さんの大きな力に期待している」と話していた。

公益財団法人大阪府文化財センターの坂井秀弥理事長

© にいがた経済新聞