県内景気「持ち直し」判断維持 11~12月 先行き不透明感も 日銀長崎支店

 日銀長崎支店が23日発表した11~12月の県内金融経済概況は、景気の総括判断について、新型コロナウイルスの影響で引き続き厳しいとしながらも「緩やかに持ち直している」との判断を維持した。観光と生産の判断を引き上げる一方、足元で感染が広がっており、先行きは不透明感が強まっている。

 観光は「厳しさは残るものの持ち直しつつある」と3カ月連続で判断を引き上げた。10月の主要ホテル・旅館宿泊者数や主要観光施設入場者数は、政府の観光業界支援事業「Go To トラベル」効果で前年比マイナス幅が縮小し、12月前半まで勢いが続いた。近隣県からの個人旅行や修学旅行の需要が回復したが、遠距離や団体の旅行は遅れている。
 感染拡大を受け「Go To」は28日から全国一時停止となり、年末年始の宿泊予約キャンセルが出ている。会見した下田尚人支店長は「今のところ停止期間が限られ、12月の予約残もあるが、1月にどこまで下振れするか注視したい」と述べた。
 個人消費は徐々に持ち直している。このうち物の消費は引き続き堅調。11月の乗用車新車登録台数は前年を上回った。これに対し、サービス消費は鈍りはじめ、12月の飲食店サイト閲覧数や夜間の人出は前月を割り込んでいる。下田支店長は「夏の感染“第2波”で抑制された需要がその後盛り返した経緯もある」としながらも、病院での感染事例が相次ぐようだと、消費をけん引する高齢者の動向に影響が出ると警戒した。
 生産は「減少」から「持ち直している」に判断を上方修正した。世界的にスマートフォン販売が好調で、電子部品の受注が増加。一時は米国による中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への輸出規制の影響があったが、他メーカーへのシフトが進んだ。

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