長崎県医師会 再び「危機宣言」 コロナ患者急増 通常医療に影響

新型コロナの入院患者が増えると通常の医療に大きな影響が出ると説明する森崎会長=長崎市、県医師会館

 長崎県内で新型コロナウイルス感染者の入院が急増し、通常医療に影響が出始めたとして、県医師会(森崎正幸会長)は24日、長崎市内で記者会見を開き、「医療危機的状況宣言」を出した。宣言は4月、長崎港に停泊中のクルーズ船でクラスター(感染者集団)が発生して以来2度目。「命を守る通常の医療ができない」「助かる命が助からない」-。こうした状況を回避するには県民の行動変容が必要と訴え、感染防止策の徹底を呼び掛けた。
 「マスク会食の徹底。自分が感染しない、感染させない努力、ウイルスを持ち込まない努力をお願いしたい」。森崎会長は会見で、危機感をあらわにして訴えた。
 宣言では、県民に「コロナ慣れ」「気の緩み」が見られ、感染者が過去最多を更新しているにもかかわらず、人の動きに抑制が見られないと苦言。▽3密回避▽マスク着用と手洗い励行▽県外への移動自粛▽不要不急の外出自粛-などを求めた。森崎会長は「家庭内でもマスク着用を徹底してほしい。30~50代の男性が家庭に持ち込むことが多い」と指摘した。
 行政に対しては、飲食店が自主的に休業や時短営業をした場合の補助金や、県内全ての病院に蛍光LAMP法を用いた迅速検査機器の配備を要請した。
 県内の感染者は24日現在計492人。このうち12月は200人以上と急増し、医療機関ではクラスターも発生している。県医師会によると、コロナ患者を受け入れる病床は満床に近づき、一般病床を転換して病床を増やしている。このため心疾患や脳血管疾患などの救急医療や、がん治療など通常医療に影響が出始めているという。
 相次ぐ病院での感染確認を受け、長崎市内の長崎大学病院、長崎みなとメディカルセンター、日赤長崎原爆病院、済生会長崎病院はこの日、面会禁止の順守を改めて文書で呼び掛けた。
 森崎会長は面会者がウイルスを持ち込んでいる可能性を指摘。「自分が感染していると思って行動し、病院への持ち込みも避けてほしい」と強調した。
 感染予防のため受診を控える人がいることについては、「かかり付け医で普段から念入りに診察を受けていれば急に重症化することはないと思う」と述べ、受診を数カ月せず重症化した場合は入院しなければならなくなるとして、小まめな外来受診を勧めた。


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