「一番危機的な状況」 長崎大・泉川教授 会食自粛呼び掛け

 長崎県内の新型コロナウイルス感染者の病床調整を担う長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は、20日までに長崎新聞の取材に応じ、感染状況と病床調整について「この1年で一番危機的な状況」との認識を示し、感染防止策の徹底と併せ、会食や県外への移動を控えるよう呼び掛けた。
 泉川氏によると、17日現在、重症者を中心に受け入れる長崎大学病院の病床は半分以上埋まり、軽症から中等症まで受け入れる長崎みなとメディカルセンターも入院患者が増えている。
 感染の「第2波」とされる今年7、8月、病院や飲食店でクラスターが発生し感染者が急増した。医療体制は極めて厳しい状況だったが、泉川氏はこれまでとの違いについて「(重症化すると危険な)高齢者や基礎疾患がある患者が増えている」と指摘する。
 同病院の病床については「(重症者が)これ以上増えると大変になる。夏より一歩進んだ危機感がある」との見方を示した。
 県は19日、県内8医療圏のうち長崎、佐世保県北の両医療圏の確保病床数を計63床拡充する方針を示した。病床を確保するには一般診療を減らし、病棟を空けて看護師を確保することになる。泉川氏は「コロナ患者の診療にはマンパワーが必要。患者が増えるほど、がんや肺炎、脳卒中など一般入院に影響が出てくる」と述べ、県民に感染予防への理解を求めた。


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