わがまち回顧2020 諫早支局 轟峡 安全と管理に課題

亡くなった母子2人を思い、花やジュースが絶えない献花台=諫早市、轟峡観光案内所

 大小30の滝が連なる多良岳中腹の轟峡(とどろききょう)一帯。青々と彩っていた樹木は、赤や黄に変わり、冷たい風が吹き付けていた。
 長崎県諫早市高来町の観光名所「轟の滝」に通じる遊歩道の崩落事故から5カ月。途切れた遊歩道の階段下には、岩や土砂が堆積したまま。近くの献花台には花が絶えず、動物のイラストがラベルに描かれたジュースが整然と並べられていた。
 事故は7月25日、遊歩道を下っていた家族4人のうち、母子3人が崩れ落ちてきた岩などに巻き込まれ、母親と次女が死亡、長女は大けがを負った。轟峡一帯に近い観測所の降水量はこの月、約1100ミリに達し、例年の平均雨量の2倍を超えていた。
 市は9月、崩落原因を解明する専門家組織を発足させ、慎重な調査が続く。事故発生前までの轟峡一帯の維持、管理が複数の部署、組織に及び、維持管理や情報共有に課題が浮かび上がった。
 本年度末を予定する調査報告を受け、自然を生かした観光地の安全対策と危機管理体制を再構築できるか。重い使命が市に突き付けられている。
 主なニュースは▽「島原道路」諫早IC-小船越IC開通▽諫干即時開門訴訟で漁業者側が敗訴、控訴▽市議報酬の引き上げ見送り▽久山町のスポーツパークいさはやが全面完成▽諫早駅東地区再開発ビルⅠ棟完成。


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