新築マンションのモデルルームで見るべきは「完成模型」? 後悔しないためのモデルルーム攻略法とは

新築マンションの購入を検討する際、多くの人がモデルルームに足を運び、じっくりと見学すると思います。その際、漠然と見ているだけでは、そのマンションのよさや問題点に気づくことはできません。どうすれば、“いい買い物”ができるのでしょうか? モデルルーム見学時の注意点を専門家に聞いてみました。

マンション選びに欠かせないモデルルーム見学。モデルルームにはその名の通り、購入を検討している人に向けた“モデル”で、室内には家具や照明器具、カーテンといったインテリア小物が設置されており、マンションでの暮らしがイメージしやすいよう工夫されています。ただし、これらは購買意欲を高めるためのアイテムであるという点は念頭に置く必要があります。

モデルルームですっかり気分が盛り上がり、購入を即断即決したけれど、いざ出来上がってみるとイメージが違ったという失敗談も“マンション購入あるある”のひとつです。

では、モデルルームを見学するときはどのような点に気を付ければいいのでしょうか?これまで首都圏を中心に多くのモデルルームや現場を見てきたという、不動産コンサルタントの岡本郁雄さんに聞きました。

「完成模型」を見ながらチェックするポイントとは

この記事は会員限定です。

会員登録(無料)すると続きをお読みいただけます。

新規登録の方はこちら

今すぐ登録

会員の方はこちら

ログイン

「モデルルームでまず見るべきなのは『完成模型』です。マンション本体はもちろん、現地の周辺にある建物や周辺の道路が敷地のどの方角に接しているかも再現されています。立面図(建物の側面を描いた図)や断面図(建物を半分に切った図)などの図面を見ても、建築の知識がないとなかなかイメージしづらいですが、模型を見ると、どんなマンションなのかが一目瞭然です。

模型では購入を検討している住戸が、どの場所に位置するかを確認。日当たりや通風に影響するマンション内での配置や、周辺の建物や道路との位置関係も見ておくことが大切です」

図面ではなかなかイメージしづらいため、ぜひ模型で確認しておきたいのが「プライバシーが保たれているかどうか」。同じ敷地内の別棟の住戸から室内が丸見えだった……といったことも、この模型をしっかり確認しておくことで回避できます。

また、意外と見落としがちなのがエレベーターや屋外階段、立体駐車場との位置関係です。位置によっては通風性などに多少の影響がある場合も。駐車場が景観を損ねていたり、さらには機械音が気になるといったことも考えられるかもしれません。

豪華なオプションは参考程度に

完成模型を見るのがまったく初めてで、どこをどう見ていいのかわからないという場合も心配はいりません。模型の近くにはたいてい説明係のスタッフがスタンバイしているので、気になったことを遠慮せずに質問すればいいのだとか。スタッフにはマンションの話だけでなく周辺環境のことも聞いたほうがいいでしょう。周囲の建物が低い場合も、建て替えで高層になることもあります。将来も日当たりが確保できるかどうかスタッフにしっかり確認しましょう。

ただ「完成模型が大事」とはいっても、やはり気になるのは部屋の様子。美しくコーディネートされたモデルルームの室内を見ていると、気持ちが盛り上がってきますよね。

「モデルルームの設備や調度品は、標準装備に含まれないオプション品も少なくありません。購入時にオーダーすれば、取り付けることも可能ですが、相応の費用がかかります。

また、部屋の仕様や広さもしっかり確認しましょう。例えば、3LDKタイプのモデルルームを見て気に入ったとしても、2LDKの仕様は異なる場合もあります。モデルルームが最上階のルーフバルコニー付など特別なタイプの場合は、とくに注意が必要です」

モデルルームと同じ間取り・仕様の部屋を選ぶという考え方もあると言います。岡本さん曰く「モデルルームはそのマンションの中でも、魅力的な間取りの部屋を採用しているケースが多い」。ということは、モデルルームと条件が近い部屋を選べば、そのマンションの暮らしやすさを最大限に享受できるという見方もあるとか。

「売れ残り」がモデルルームと称して売り出される?

では、「モデルルーム」そのものが売りに出されている場合はどうでしょうか。モデルルームには「マンションギャラリー」と呼ばれる、販売センターに併設されているタイプと、実際の建物内で住戸を見られる「竣工済みタイプ」の2種類があります。後者の場合、役目を終えたものが「家具付き」かつ、割引価格で売りに出されることも。

「これまで多くの人が訪れているので、部屋に傷や汚れなどがあることは覚悟しておく必要があるかもしれません。また、用意されている設備はあくまでも“見た目重視”で選ばれたもののはず。実際に暮らしてみたときに快適なものなのか、本当に必要なものなのかは別問題です。

もっとも、こうしたデメリットを織り込み済みと考えるのであれば、前述のようにそのマンションの“売り”となる間取り・グレードの部屋を安く購入できる可能性があります。ただ、マンションによっては売れ残った部屋を、モデルルームと称して販売する場合もあるという点だけは気を付けたいですね」

販売会社としては、売れ残った住戸は一刻も早く処分したい。ただ、売れ残りだと聞くと、途端に買うのをためらうのが消費者の心理。そこで、モデルルームだという設定で家具や設備をあしらい、売り抜けるのはよくある話だそう。

見学する人のために、“マイホームの夢”を見てもらうために、さまざまな工夫をこらされているのがモデルルーム。見学する際には、そのことをしっかりと頭に叩き込んでおく必要がありそうです。

取材・文:島影真奈美

不動産コンサルタント 岡本郁雄

ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター。不動産コンサルティング会社などを経て2004年に独立。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティングやコンサルティング、住まいの選び方などに関する講演や執筆、メディア出演など幅広く活躍中。神戸大学工学部卒。

LogRenove(ログリノベ)

© 株式会社プロポライフグループ