「自分も引き出しのある打者に…」ロッテ菅野が中村、栗原ら“鷹軍団”に飛び込むワケ

ロッテ・菅野剛士【写真:福谷佑介】

ロッテ菅野は打率.260も出塁率.389、選球眼の良さが光った

ソフトバンクと首位争いを演じ、4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたロッテ。菅野剛士外野手はプロ3年目の今季、スタメンで3番を任されるなど自己最多の81試合に出場し、打率.260、2本塁打、20打点をマーク。勝負強い打撃で勝利に貢献した。

打率は.260だが、出塁率は.389という高い数字を記録した。しかし、当たりが止まっているときでも四球を取りにいくことはしていない。甘い球を1球で仕留められるようにすることをテーマに取り組んできた結果だという。

「ローテーションを守っているピッチャーやクローザーはレベルが高い。甘い球は1球来るか来ないかです。ボール球に手を出したら本当にもったいない。そこを意識した結果、四球が取れた。フォアボールを選ぼうという気持ちはないです」

守備では冷静な判断と堅実なプレーで、守備力を図る数値「UZR」は10.9と左翼でトップの数字を残した。さらに今季は、今までに経験がないという一塁の守備にも就いた。「最初はすごく緊張した」というが、安定したグラブさばきで、外野、一塁ともに無失策だった。

「1年目から大塚コーチのノックをたくさん捕っていました。それが3年目で数字に残った。練習しておいてよかったです。外野手はランナーを進塁させないことが一番大事。失点につなげないことが、ピッチャーを助けることになると思っています。ファーストは、試合に出られる以上はチャンスだと思って挑戦しましたが、打球がすごく速くて内野手は大変だなと感じました。今からいろいろな練習をしなきゃいけないと思っています」

1年目のオフから、CSでMVPに輝いた左の好打者、ソフトバンク中村晃外野手の自主トレに参加している。面識はなく、ともに練習するのは栗原陵矢捕手や釜元豪外野手などソフトバンクの選手ばかりだが、その打撃技術を学ぶために飛び込んだ。

「すごく試合に貢献するバッターだなと見ていました。チームバッティングができて、バントもできて、派手なホームランも打てる。守備も外野だけでなく、ファーストも守る。自分もいろいろな引き出しのあるバッターになりたいと思いました」

ロッテ・菅野剛士【写真:篠崎有理枝】

今年1月の自主トレでは意識の高さに驚いた「なるべく細かく聞くように」

今年1月の自主トレでは、一軒家を借りて選手全員とともに栄養士も共同生活をしながら食事も管理された。その環境の素晴らしさに驚くとともに、意識の高さを感じた。

「打ち込む量もただ多いだけでなく、考えながら目的をもって取り組んでいます。口には出しませんが、引っ張ったり、逆方向だったり、飛距離を意識したり、さまざまな場面を想定しながら淡々と打っているので、それを見てバットコントロールを学んでいます。わからないことがあったら、なるべく細かく聞くようにしています」

自主トレを共にする栗原は、日本シリーズMVPに輝くなど今季ブレークを果たしたが、最初に見た時から一目置く存在だったという。

「当てにいったりせず、空振りになっても自分のスイングをしっかりする。飛距離もあるし、なおかつ勝負強い。こんな選手がホークスじゃ試合に出られないのかと思っていました。今年活躍してすごいなと思います。年下ですけど、盗むところはたくさんあります」

来年1月の自主トレも、中村晃のもとで更に磨きをかける。ロッテの外野手は藤原恭大の台頭もありレギュラー争いは熾烈を極めるが、定位置奪取のためアピールを続けていくことを決意する。

「開幕2軍スタートだったので、来年は開幕を1軍で迎え、ずっと1軍にいられるようにしたい。今年は打ち損ねた球が多かった。そこを改善して、たくさん試合に出られるように、自分のポジションをしっかり確立できるようにしたいです」

ライバル球団の選手を受け入れてくれた“師匠”への恩返しは「僕が活躍すること」だと話す。4年目の来季はレギュラーの座を確固たるものにし、チームをけん引する働きを見せることを誓う。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

© 株式会社Creative2