マラドーナ監督の〝移籍口出し〟で娘婿アグエロとの関係悪化

アグエロは義理父マラドーナ監督の口出しに猛反発した

【本紙が密着!南アW杯で見たマラドーナ監督のお騒がせ伝説(3)】60歳で急死した元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ氏。1986年メキシコW杯では母国を優勝に導くなど数々の栄光をつかんだ一方、ピッチ外ではトラブルが絶えなかった世界屈指のスターだった。本紙は同国代表監督として2010年南アフリカW杯に臨んだマラドーナ氏に密着。当時を振り返る連載第3回では、娘婿で同国代表FWセルヒオ・アグエロとの〝危険な関係〟を再リポートする。

南アフリカW杯代表メンバーに選出されたアグエロは、2008年にマラドーナ監督の次女ジャンニーナさんと結婚。09年2月には息子「ベンジャミン・アグエロ・マラドーナ」君が誕生した。おじいちゃんになるなど、家族として関係が強固になっていくと、義理父はアグエロの〝進路〟にも口出しするようになった。

所属のスペイン1部アトレチコ・マドリードで大活躍し、ビッグクラブへのステップアップが望まれている中、マラドーナ監督は、スペイン紙「マルカ」によると「アトレチコはアグエロの能力を最大限に引き出すため、補強をするべきだ。できないのなら移籍を認めるべきだ」などと、主張したという。

アグエロの新天地には、イングランド・プレミアリーグのチェルシーやマンチェスター・シティー、マンチェスター・ユナイテッドが浮上している中、サッカー界に絶大な影響力を持つスターの発言は、世間をざわつかせた。特に移籍候補の一つだったイタリア1部インテルが、マラドーナ監督と接触したとし〝密約説〟が報じられたこともあり、各方面でさまざまな臆測を呼んだ。

ただ、アグエロは自身の去就について注文を付ける義理父に対し「自分の人生で何をしたいか決めるのは自分。マラドーナに決められたくない」と猛反発し、2人の関係は悪化。さらに実父レオネル・アグエロ氏は「移籍先には(Aマドリードの宿敵)レアル・マドリードが含まれている」と漏らしたことで、さらなる波紋が広がった。

マラドーナ監督はバルセロナに所属してたことから、Rマドリードが大嫌い。その上、代表監督に就任後、同クラブに所属する自国代表選手が不当な扱いを受けているとアピールなど、徹底攻撃を展開。だが、アグエロはRマドリードへの移籍を示唆し、2人の対立は決定的となった。

結局、アグエロは南アフリカW杯から約1年後の11年夏に移籍金4500万ユーロでマンチェスター・シティー移籍。翌12年にはジャンニーナさんと離婚した。トラブルメーカーだった義理父との親子関係も解消された。

(続く)

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