帰省ピークも混雑なく 長崎県内、静かな年の瀬

帰省シーズンながら乗客がまばらなJR長崎駅構内=長崎市尾上町

 新型コロナウイルス感染が拡大する中、長崎県内で29日、年末の帰省のピークを迎えた。政府が「静かな年末年始」を呼び掛ける異例の年の瀬。各交通機関の乗客数は例年を大幅に下回り、目立った混雑は見られなかった。Uターンのピークは1月3日の見込み。
 長崎市のJR長崎駅。昼前に到着した特急かもめを降りた乗客の姿はまばらだった。福岡市から妻(27)と帰省した会社員の男性(29)は「コロナで帰省を何度か諦め、1年ぶりに帰って来られた。実家でゆっくりしたい」と話した。
 JR九州によると、例年100%超の乗車率になるが、同日の特急かもめ(博多-長崎)の自由席が最大70%、特急ハウステンボス(博多-ハウステンボス)は最大50%(いずれも午後4時半時点)。長崎本線の予約状況は15.5%(10日時点)で2004年以降、過去最低という。
 五島市の福江港ターミナルも例年と比べて出迎えの車や人が少なかった。佐賀県から帰省した公務員男性(23)は「友人と会っても夜の飲み会はせず、昼食だけで解散する。家の中でもマスクをして手洗いうがいは徹底したい」。
 長崎-福江間のフェリーやジェットフォイルを運航する九州商船福江支店によると例年、年末の長崎発、年始の五島発でそれぞれ満席が出るが、今年は「かなり余裕がある」状況。現時点で満席はなく、便によっては定員の半分に満たない便もある。
 また博多と五島列島を結ぶフェリーを運航する野母商船は、コロナ対策として予約受付を3分の2に減らしている。それでも年末年始の予約率は3分の1~半分程度。担当者は「今年はコロナに加えて年末に大寒波の予報が出ており、帰省を控えた影響もあるのでは」と話した。
 大村市の長崎空港も閑散とした様子。空港ターミナルビルを運営する長崎空港ビルディングによると、今月の乗降旅客数は前年と比べてほぼ半減。大阪市から県内の妻の実家に帰省した会社員の佐々木俊彦さん(33)は「新型コロナの感染者が多い大阪から帰るのは迷った。正月は密を避けて家にこもり、義理の両親とお酒を楽しみたい」と話した。


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