矢野阪神また遠のく「脱・守乱」 打力優先サンズのコンバートは諸刃の剣

昨季は主に左翼で起用された阪神・サンズ

阪神は今オフ、アマナンバーワンスラッガー・佐藤輝明内野手(21=近大)をドラフト会議で4球団競合の末、指名することに成功。さらに韓国球界で47本塁打、135打点をマークしたメル・ロハス・ジュニア外野手(30)も争奪戦を勝ち抜き獲得するなど、矢野政権勝負の3年目を前に着々と戦力整備を推し進めている。

先日、矢野監督は関西ローカルのスポーツ番組内で「現段階の考えでは」と前置きしながら「中堅・近本」「右翼・佐藤輝」「左翼・新外国人(ロハス)」の構想を披露。充実したラインアップになるところだが、一つの不安も残る。昨季、左翼で起用されてきたジェリー・サンズ外野手(33)の〝処遇〟だ。

そのテレビ番組で矢野監督は、サンズを来季一塁で起用するプランを披露。伝統的に得点能力に苦しんできた阪神だけに、打力のある選手を優先的に使いたいことは理解できるが、今季サンズがチームで一塁を守ったケースは皆無。コンバートさせるとなると春季キャンプから徹底的に一塁守備練習をさせる必要があるのだ。

ただでさえ2年連続で12球団最多の失策数を犯している阪神。その背景には一人の選手に複数のポジションを多々守らせるチーム方針があったとの批判は根強い。昨季自己最多の28本塁打をマークした大山も、本塁の三塁だけでなく昨季は一塁、左翼、中堅でも起用されるなどした。

サンズの場合、韓国球界在籍時代に一塁守備の経験もあるとのことだが、その実力は未知数。守備難解消を重要テーマに掲げる3年目の矢野監督だが、このプランが吉と出るか、心配は尽きない。

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