平均年収5000万円のハイスぺ男性を徹底リサーチ 女性の幸せを導く婚活塾の狙いとは

ハイスぺ男子総合研究所のメンバー

女性の社会進出が進んでいる昨今。夫婦共働きが当たり前になった現代において、「お金持ち男性と結婚して玉の輿に乗りたい」という旧態依然とした女性の結婚願望はすでに現実離れしたものとなっています。

実際に株式会社Parasolが運営する未婚男女のマーケティング研究機関「恋愛婚活ラボ」がマッチングアプリ「ペアーズ」に登録する男性人気会員トップ500人の年収を調査したところ、最も多かったのは「600~800万円(27.4%)」、続いて「400~600万円(24.9%)」という結果に。婚活女性が結婚相手男性に求めるリアルな年収が浮き彫りになりました。

一方で、平均年収5000万円以上の“ハイスペック男性(ハイスぺ男性)”の生態や恋愛観をリサーチして、彼らと出会いたい女性受講生を支援する恋愛婚活塾「ハイスペック男子総合研究所(ハイスペ総研)」なるアカデミーがあります。時代の真逆をいっているように見えるこの婚活塾について、主宰する株式会社はんなりの取締役・柿添あいさんに聞きました。


バリキャリ女性が立ち上げたハイスペ総研

――そもそも、「ハイスペ総研」とはどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

柿添:2018年9月頃、とある投資コミュニティに入っていた私と総研所長の吉沢が立て続けに離婚をしたことがきっかけです。

吉沢はもともとエステサロンを経営していたのですが、前の旦那さんは仕事を潰してニート状態になってしまったことで離婚しました。その後は年収の高い男性のリサーチをしながら婚活をしていたところ、年収3000万円~4000万円の彼氏ができたんです。

一方、金融系の仕事をしていた私も吉沢の1年後に離婚。当時は子どもが二人もいる38歳でしたが、吉沢に相談して婚活を始めたら18人の男性と出会って全員から告白されました。

二人でこの経験をもとに多くの女性にアドバイスをしようと始めたのがハイスペ総研です。私も吉沢も仕事をバリバリこなしていて、旦那さんには専業主夫になってもらっても構わない状態でしたが、当人たちは家事育児をまったくやらなかったり価値観が合わなかったり。二人とも「私は一生懸命稼いでいるのに相手は何もしない」「毎日の楽しみや価値観が合わない」となったことが離婚の大きな要因でしたね。

受講する女性像は

柿添あいさん

――お二人とも稼ぎ頭の旦那さんと離婚して生活に困ったから、年収の高い男性と出会おうという流れではなかったのですね。それではハイスペ総研では、どういった女性が受講されているのでしょう。

柿添:2パターンがあります。1つは、自身が高学歴で高キャリアというハイスペック女性のパターン。彼女たちは自分と価値観の合う男性を考えて自然とハイスペック男性を求める傾向があります。

もう1つは年収400万~500万などを稼ぐ普通のOLさんです。彼女たちはライフプランやお金の計算がしっかりしていて、自分の年収だけでは老後が不安なことや結婚して子どもを持つには相手男性の年収が1000万円以上は必要であることなどを理解しています。

年齢層は21歳から58歳までいて、ボリュームゾーンは35歳前後です。一般的に想像するような、「玉の輿に乗りたい!」というギラギラした若い女性はいないですね。

ハイスペ男性は“普通の女性”を求めている?

――「ハイスペック男性」について、生活感とコミュニケーション能力がある年収1000万円以上の男性と定義されています。リサーチしている中で、彼らが結婚していなかったり彼女がいなかったりする理由はなんでしょうか。

柿添:お医者さんや会社経営者、不動産を持っているなど職種はさまざまですが、リサーチしている男性の中には億単位の年収の方もいるので、平均年収にするとだいたい5000万円です。それくらいの年収になると、ただお金目当てですり寄ってくる女性も多いので結婚や恋愛にゲンナリしている男性も多いです。

また、35歳以上だとバツ1の人も少なくありません。彼らに共通しているのは、年収が低い時に結婚をし、年収が上がったら奥様と合わなくなって離婚したケースです。

海外出張やたくさんの人との付き合い、激務などハイスペ男性ならではの生活に、堅実的な女性が不満を抱くなどして仕事の足かせになってしまう。またビジネスにおける社交場の機会も多いので、ビジネスの相手と会話するための奥様の知識や教養、ビジュアルに物足りなさを感じることも多いようです。結婚してから次第に奥様がいい暮らしをしていることに感謝しなくなって離婚するケースもよく耳にします。

「ちゃんとした女性」が求められる

――つまり、ハイスペ男性はそうではない女性を求めているということなんですね。

柿添:よく言っているのは「ちゃんとした女性」です。会話が成立し、マナーや服装など誰に紹介しても恥ずかしくなく、しっかり感謝してくれて、見た目もある程度キレイにしている人。普通のことなんですが、ハイスペ男性にはそれができない女性が多く集まってくる現状があります。

また、労働形態が何であろうと仕事を頑張っていたり夢を追っていたり趣味を楽しんでいたりと、自分の人生を生きることの大切さは伝えています。同じようなハイスペックな医者や経営者の女性も話は合うでしょうけれども、それはお金やビジネスの価値観が合致するからです。

一方で年収が低くても、自立した生き方をしていて何かの接点が合う女性なら好まれる可能性は十分になります。これまでにはカメラを趣味にしている女性がカメラ好きなハイスペ男性から告白されたり、元ミュージシャンでギターが弾ける女性がバンド経験者のハイスペ男性から告白されたりといった事例がありました。

婚活塾の最初の質問は

――勝手に「お金持ちと結婚するために愛され女子になりましょう」といった恋愛テクニックなどを教えているのかと思っていました。

柿添:受講生にはまず、「どんな生き方をしたいですか?」と聞くことをスタートラインにしています。

自分の望みや幸せを考えた時に、キャリア形成や社会貢献、趣味や夢などを挙げる女性もいるでしょう。一方で、自分の隣に素敵なパートナーがいることを幸せと考える女性もいます。また、仕事は好きではないけれど愛する男性と一緒にいて、その人を支えたい女性も。その人を思い浮かべた時に、結果的に「ハイスペ男性だ」となる人が受講をしているのが現状です。

つまり、前提は「ハイスペ男性に幸せにしてもらう」「玉の輿に乗って楽な生活をする」ことではありません。主体性がないからお金持ちに幸せにしてもらいたい女性であれば、心根を叩き直しています。ハイスペ男性は女性の欠乏感を埋めるための道具ではありませんからね。

マレーシアのハイスぺ男性と合コン

――2020年10月にはマレーシアNo.1マリッジエージェンシーのDATEWORKSと合同でオンライン合コンをされました。これは、東南アジアの富裕層と結婚したい日本人女性が増えているということなのでしょうか。

柿添:もともとDATEWAORKSさんからのご提案で実施した企画でした。日本国内のレベルだと年収1,000〜1,500万円のマレーシア在住男性と、受講生がオンライン合コンをし、結果的に7組の男女がマッチングしました。

もともと受講生の中にはハイスペックで英語が得意な方や海外志向の方も多く、「どんな人生を歩みたいですか?」と聞く中で、世界を回りたい、どんな場所でも好きな仕事をしたいという声はありました。そうすると、結婚相手が日本人男性である必要がありませんよね。

また、仕事をバリバリされている受講生からは「日本ではなくマレーシアに住んだ方が税制の面で得だから」という理由も聞いたので、そういうメリットから海外に住む男性とマッチングしたい女性が多かったのかなと思います。ただ単に「東南アジアの富裕層と結婚したい」という考えを持っている女性はいなかったです。

――コロナ禍で婚活市場にはどのような変化が生まれていますか?

柿添:気軽に人に会いにくい状況になったことで、婚活現場では最初のデートをオンラインでする人が増えました。実際に会う前にオンラインである程度お話して、お互いに判断できるので、より望みの人に会いやすいメリットがあります。

実際に会うにはかなりの労力を要しますから、オンライン上でたくさんの人に会い、スクリーニングをかけることができるのはかなりのプラスです。そのように考えればオンラインを使った婚活はうまくいきやすい。オンラインによる婚活は今後主流になっていくと思います。

今、ハイスペ男性もコロナの影響から次の事業や投資を前向きに考えている人がほとんどです。コロナ禍になって後ろ向きになる性格の人は、そういったハイスペ男性とは価値観が合わないでしょう。今後も婚活女性はその時々の状況を前向きに捉えてどう動くかで、自分の幸せな人生を生きることができるのではないでしょうか。

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