暴行被害の長与「先輩から続く歴史を汚してはいけない」と反撃一切せず

羽田空港で取材を受ける長与千種

暴行を受けていた女性を救出した女子プロレス史上最大のカリスマ・長与千種(53=マーベラス)が19日、羽田空港で会見し、生々しい事件現場の様子と自身のケガの状況を明かした。

空港に現れるや約50人のマスコミに囲まれた長与は「何があったの?」と驚きながら事件の詳細を語り始めた。19日午前3時ごろ、食事を終えススキノを歩いていたところ「『助けてー、やめてよー』というあまりにすごい女性の悲鳴が聞こえて、襲われてるのかなと思って、警察を呼んでから状況を見に行った」という。

現場は立体駐車場で、とっさに体が動いた長与は猛ダッシュの末、数十秒で3階の現場に到着。「女性の上に男が乗っかっていて、袈裟固めに近い体勢になっていた」という状況になっており、女性の体には複数の擦過傷があったため、男性のえりをつかんで立たせた。

男性から引き離した女性を弟子の彩羽匠らに任せ、長与は自分よりも身長が高い中肉中背の男性を落ち着かせようと試みたが「男は『大丈夫だから』と言ってましたけど。『大丈夫じゃないよね。そういうことやっちゃいけないよね』と話したんだけど通じなかった」。

その後、男性の「もう暴れない」との言葉を受けて「一瞬、女の子の方を見た瞬間に頭を押さえつけられた。〝ヤバい、このままだと頭を地面に叩きつけられれる〟と思ったが、自分はプロなので何もできない。やってはいけない。だから四つで組んで防御しながら『やめて!』と言った瞬間に、左手を持たれて骨折してしまった」と明かした。負傷した左手小指には包帯が巻かれ、救急病院で「はく離骨折」と診断を受けたという。今後、精密検査を再度受ける予定だ。

合計約4分にわたって手を一切出さず防御のみで男性を抑え、警察の到着を待ったという長与。一切の反撃をしなかった理由を問われると「もし、ここで手を出したら全国から来ている(弟子の)子たちの人生をダメにしかねない。先輩から続く歴史を汚してもいけないから」と話した。

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