身近な地域施設を複合化 綾瀬市計画案、自治会ごと再編へ

築53年が経過した吉岡地区センター。三つの会議室のほか、市内で唯一の陶芸設備も。手前には吉岡自治会館がある=綾瀬市吉岡

 神奈川県綾瀬市は2021年度から住民に身近な地域施設を複合化して自治会ごとに1カ所に再編する事業に着手する方針を決めた。市公共施設再編計画案を作成し、蓼川や早川など4地区で先行実施を目指す。計画案に対するパブリックコメント(意見公募)を1月6日まで行っており、意見を踏まえ3月までに策定する考えだ。

 計画案の期間は21年度から55年度までの35年間。人口減少に伴って縮小する市の財政状況を見据え、適切に維持管理できる規模に現有施設のスリム化を図るのが目的。対象は76施設で「延べ床面積23%削減」を目標に、継続・複合化・移転・廃止の四つの方向性(機能)に分類した。施設の更新を4期に分けて順次進める。

 今回、1期目(21~25年度)の実施計画案も提示し、地域施設を優先的に再編する方針を明記した。

 14ある自治会にはそれぞれ自治会館や地区センター(公民館)、ふれあいの家など複数の施設が昭和40~50年代を中心に整備された。このうち、老朽化や稼働率の低さが課題になっている蓼川、早川、吉岡、寺尾綾北の4地区をモデル地区に選定。主に地元自治会が利用している現存会館を廃止して地区センターに機能を集約化させ、敷地内に複合施設を新設するなどの方向性を示した。

 複合施設については市民交流と防災の拠点をコンセプトに掲げた。自治会活動の専用スペースのほか、児童や子育て世代らが気軽に立ち寄れるコミュニティースペース、災害時の避難所に転用できるよう非常用電源や備蓄倉庫の設置も想定する。

 また、古塩政由市長が2期目の公約に掲げた、にぎわいを生む中心市街地再整備に向けて図書館や中央公民館の移転、文化会館の建て替えの検討が盛り込まれた。

 市企画課は「地域施設の再編は全ての自治会で考えている。住民の要望を聞きながらモデル地区での計画実現で弾みをつけ、2期目以降、複合化を順次進めていきたい」としている。

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