2021年に台頭する?仰天テクノロジー「頭蓋骨改造人間」

謎のデバイスを頭蓋骨に貼り付けた人

昨年はコロナで大変な1年だったが、風が吹けば桶屋が儲かる式に意外な業種が急成長した。ロボットだ。いつになったら普及するのかと思いきや、コロナが追い風に。今年は家庭用ロボットが次々に製品化されるだろう。すでに家まで宅配便を運ぶ人型ロボットや家事手伝いロボットが登場している。夢のロボットメイドがやってくるのだ。ほかにも21年に実現しそうな仰天テクノロジーについて、大人のための科学実験の普及に努めるサイエンスライターの久野友萬氏が大予想した。

コロナで人の接触が断たれ、多くのストレスの原因になっている。そこで岐阜大学が作ったのが「お散歩彼女」。恋人と手をつないで歩く気分を味わう手だけのロボットだ。手汗をかいたり、歩くのが速すぎるとアームが動いて彼氏の腕を引っ張るというから芸が細かい。

AIは幅広い分野で利用できるが、今年はディープラーニングならぬ「ディープフェイク」が問題になりそうだ。AIを使った画像合成技術が飛躍的に進歩し、元の動画の顔を別人に変えてしまう。ネット黎明期、アイドルとセクシータレントの顔の合成「アイコラ」がはやったが、今や動画である。清純派アイドルがナニをナニして大変なことになっている。この技術で政治家のニセ会見を作られたら、素人はだまされる。

テクノロジーで身体をパワーアップすることを「トランスヒューマン」という。サイボーグは人体を機械と入れ替える技術だが、トランスヒューマンはバイオ技術も含めて人間という種を超えようとする。どうやって超えるかというと、スペインのマネル・デ・アグアス氏は頭の皮をはいで、頭蓋骨に自作のヒレ形のデバイスを接続した。ヒレには骨伝導の発信器と温度や湿度のセンサーが入っており、振動で周りの温度などを伝える。人間には感知できない天候の微妙な変化をデバイスがキャッチするらしい。

事故で手足を失ったゲーム好きの青年が、ゲームに出てくるスーツのイメージで作った義手義足を装着するのもトランスヒューマン。手にICチップを入れて、手がマネーカードみたいになっている人も。

アートや哲学をして人体を改造するトランスヒューマンに対して、軍隊はもっとリアルだ。フランスは超兵士を作る発表をした。その名もバイオニックソルジャープロジェクトである。強化した肉体は眠らず疲れず、聴力や視力は薬で性能を上げ、脳に通信機器を埋め込んで無線ネットワークと直接データをやりとりする。

米国はずいぶん前から同様の研究を進めており、国防高等研究計画局では四肢がマヒした患者の脳にチップを埋め込み、思考でドローンを操縦する実験に成功している。脳に電流を流して、能力を高めたり48時間眠らない技術も開発済みだ。バイオニックソルジャーは夢物語ではないのだ。

昨年は、はやぶさ2が無事に小惑星のサンプルを回収し、日本の技術はすごいとNASAがお祝いの言葉を贈ったが、NASAの計画する「アステロイド・リダイレクト・ミッション(小惑星移動計画)」は、はやぶさ2とはスケールのケタが違う。ロボット宇宙船で小惑星をつかまえ、月の軌道まで持ってきて鉱物資源を掘り出そうというのだ。そのままガンダムの世界である。

一向に始まらない宇宙旅行も、ロケットで行こうとするから費用や安全面に無理がある。スペースパースペクティブ社は成層圏まで上がる気球を開発中だ。気球なら宇宙船よりはるかに居住スペースが確保でき、滞空時間も数時間単位だ。地球を足元に見ながら結婚式を挙げることもできるのだ。

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