コロナ禍で就職難の若者へ…パソナが打ち出した新制度を識者はどう見る?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月17日(木)放送の「ニュースランキング」のコーナーでは、パソナの若者採用から見る既存の終身雇用とその変化における不安などについて議論を交わしました。

◆パソナが就職難の若者向けに新制度導入

人材派遣大手パソナグループは、コロナ禍で就職難に苦しむ若者向けに、働きながらビジネスの専門知識などを学べる制度を2021年4月に始めると発表。これは兵庫県・淡路島で契約社員として最長2年働くもので、給与月額は大学・大学院卒が16万6,000円。まず一期生として1,000人を募集するということです。

10~30代と若い世代から関心を集め、主に30代女性が注目していたこのニュース。一般会社での就労経験がない弁護士の三輪記子さんは、今回の新制度の基本給が20万円を切っていることについて相場が的確なのか意見を求めると、入社経験のあるMCの堀潤は「初任給は大体そんなもの」と言います。そして、その後しっかりと評価され給与が上がればいいものの、「その水準のまま閉じ込められていくと、つらい」とも。

これに三輪さんは今回のパソナは有期雇用契約だけに「給与はそんなに急に上がらないのでは?」と危惧。その点に関しては堀も同意見のようで「これがいわゆる終身雇用モデルが大きく変わっていくなかでの課題だと思う」と指摘します。

というのも、これまでは年代ごとの給与がある程度予想できただけにライフプランの設計が容易で、それをもとに住宅ローンなどを組んでいました。しかし、それが大きく変わるとなると、それこそ家の買い方などが変わる可能性もあり、堀は「"20代だからこの程度の料金”というような市場価格は、本当に適切なのかを見直さなければいけない」と話します。

慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんの弟は地元の信用金庫に就職したそうで、初任給は12万円。しかし、信用金庫という安定した職に就けたことで家族などは万々歳で、「地方の終身雇用のような制度は安い給料からしか始まらないけど、"安定が続く”という名目で見合わない報酬でも我慢しているところもあった」と若新さん。そして、今後に関してはこのパソナのプランなどを機に「ここから議論が始まるのはいいと思う。ここからいろいろな働き方や地方ごとのいろいろな採用モデルが生まれる」と推測します。

2人の意見を聞き、堀は「これだけ『デフレからの脱却』と言いながら、(日本人の)給与は諸外国に比べ低く抑えられている点が大問題だと言われてきた」と示唆すると、三輪さんも同意しつつ、「(低所得では)消費もできない」と憂慮。

ただ、今回のパソナの待遇に関して、キャスターの宮瀬茉祐子は「これは職業訓練として教えてもらいながらも給与がもらえるということからすると、高い気もする」と見解を示します。さらに、最長2年とされる契約終了後に「パソナグループ(の新制度)で2年受けたという"ブランド”が、どこまで通用していくのかということが、今後にかかってくるように思う」と言及。

これに対し堀は、そんなパソナの新制度が「手に職がつくような内容であってほしい」と願う反面、もしも名ばかりのものだったらと懸念すると、同じく三輪さんも「(新制度が)キャリアアップの切符になるならいいが、安価で2年働ける人と安く見積もられるきっかけになったらひどい」と案じます。

とはいえ、就職難に苦しむ若者へ向けて門戸を開く取り組みであることからも、堀は「パソナのみなさんは、良かれと思ってこのような制度を設けていらっしゃると思うので、しっかりとやってほしい」と期待を込めていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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