【新型コロナ】首都圏の病床使用率、ひっ迫極まる 東京86.4%、神奈川は重症者92.4%

 5日時点で各都道府県が発表している新型コロナに関する統計で、東京都と神奈川県の病床使用率がさらにひっ迫していることが明らかになった。それぞれ発表している病床数の定義が違っているもの、東京では全体の利用率が86.4%、神奈川では重症者用病床が92.4%埋まっており、医療崩壊が目前に迫っていると言わざるを得ない状況だ。

分科会尾身会長「首都圏はステージ4の状況」

 各都道府県が毎日発表している新規感染者数などの統計の5日発表分がさきほどまとまった。注目される首都圏では東京都と神奈川県の深刻な状況が際立っている。

東京都

 東京都の1月5日発表時点の数値では、入院患者数3,025人に対し確保病床数が3,500床となっており、使用率は86.4%となった。重症者病床に関しては50.4%となっている。しかし都が発表しているのは「確保病床数」で、この3,500床すべてがすぐに稼働できる状況かは明らかにされておらず、現状を正確に捉えていない可能性がある。

神奈川県

 神奈川県の1月5日発表時点の病床使用率は、即応病床を分母とし全体で54.4%。これだけをみればそれほど深刻ではないように思われるが、県では患者の重症度別の使用率も公表しており、それによると中等症に関しては79.1%、重症患者にいたっては92.4%となった。まさに崖っぷちの状況だ。

 この状況を受け、黒岩祐治神奈川県知事は県民に向けてビデオメッセージを発信。飲食店の営業時間制限とさらなる感染対策に理解と協力を求めるとともに、「年末から新型コロナ患者の入院先調整に苦労している」と明かし、受け入れている各病院に対し、医師が延期できると判断した入院や手術を1ヵ月ほど延期するよう要請したことを明らかにした。

なお、5日開かれた政府の新型コロナ対策本部分科会では、尾身会長が首都圏の状況について、もっとも深刻な「ステージ4」の状況だとの見解を表明。7日にも発令されるとみられる緊急事態宣言に関し「緊急事態宣言のみで感染抑止になるかは断言できない」と述べ、時期についても1−2週間では効果を見込むのは厳しいとし、強力な措置が必要だと示唆した。

© 合同会社ソシオタンク