五島市 2年連続「社会増」 2020年 「自然減」は前年より悪化

2000年以降の五島市の人口動態

 長崎県五島市は5日、2020年に市内に転入した人が転出者を69人上回り、「社会増」となったと明らかにした。前年には旧1市5町合併(04年)後で初めて社会増を達成しており、2年連続。施行4年目の国境離島新法を活用した雇用創出事業などにより、継続して島外流出を抑えつつ、子ども連れを含む若いU・Iターン世帯の受け皿ができているとみられる。
 20年の転入は1313人(前年比24人増)、転出は1244人(同12人減)となり、前年に続き「転入増加」と「転出抑制」を維持した。転入者のうち、市の移住支援施策などを利用したU・Iターン者は216人(同12人減)。若年層の移住が増え、20年度の実績(11月末現在)では30代以下が8割を占める。
 市は要因分析を進めているが、国境離島新法に伴う雇用創出事業で働き口が増えたことの他、技能実習生や留学生など外国人の流入が増えていることも社会増の一因とみる。
 転出入について、「新型コロナによる大きな影響はみられない」(同市)。ただ人口が集中する都市部で地方移住への関心が高まる中、全国の自治体が移住施策の充実やPRを活発化。市は昨年3月からコロナ禍に対応したオンライン移住相談も実施しており、「地方間競争で、移住者の選択肢も広がる。早くから移住施策を進めてきた優位性を生かし、他との差別化を図る」としている。
 一方、死亡数が出生数を上回る「自然減」は485人(同63人増)で、前年より悪化した。20年の死亡は674人(同56人増)で旧市町合併後で最多、出生は189人(同7人減)で最少となった。社会増69人と合わせた総人口の推移は416人のマイナス。県が公表する市の推計人口は3万4519人(昨年12月現在)で、市は60年に人口2万人の維持を目指す。
 野口市太郎市長は5日の仕事始め式で「社会増が2年続いたが、まだ定着とは言えず、気を抜けばすぐに元に戻る。自然減は厳しい状況だ」と述べた。今後は自然減対策として、中学生以下が対象の医療費助成を高校生まで拡充するなど、子育て支援にも力を入れる。

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