【春高バレー】東海大相模・三上監督、コートで親子隣り合わせ 息子は女子校コーチ

東海大相模・三上稔監督=東京体育館

 振り向けば息子がいる─。東海大相模の三上稔監督(63)は極めてまれな親子“隣り合わせ”の戦いに挑んだ。

 東山(京都)との2回戦。同時刻に隣接するコートで戦っていたのは、長男・晃右さん(33)がコーチを務める女子の文京学院大女(東京)だ。

 「父親の僕が部活ばかりで遊んであげられなかったので、指導するチームに一緒に付いてきていた」と三上監督。愛息がバレーに親しむのは自然の成り行きだった。高校はかつて父が監督を務めた東海大翔洋(静岡)に進学。東海大卒業後は同大学や女子のNECで指導者としてのキャリアを積み、2014年仁川アジア大会にも技術スタッフとして帯同した。

 戦術面では互いに考え方や策に相違はある。それでも、晃右さんは「情熱を持って教える姿勢には自分も負けていられない」と父を師と仰ぎ、研さんを積んでいる。

 この日、試合前には「頑張れよ」「頑張ります」と短く言葉を交わした。東海敗退の直後、文京学院大女も涙をのんだ。

 「やっぱり親子なので、きょうも勝ってほしかった」と去りゆく父を見届けた長男。一方、父は無言のエールを送る。「いつか親子でセンターコートに立つのがひそかな目標」。実現するその日まで挑戦はやめない。

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