【フェアリーS】ファインルージュが寒風を切り裂く差し切りV ルメール「今日はライバルがいなかったね」

ファインルージュ(ゼッケン9)は外から豪快に突き抜けた

3日間競馬を締めくくる中山メイン・GⅢフェアリーS(芝外1600メートル)は3番人気のファインルージュ(牝・木村)が中団から鮮やかな差し切りV。未勝利勝ち以来、2か月半ぶりの実戦で初タイトルを奪取した。歴史的には軽視されがちな一戦だが、その勝ちっぷりは本物。「白毛のアイドル」ソダシを頂点とする牝馬クラシック戦線の最上位グループへ一気に肉薄した快勝劇を振り返る。

ルメール&木村厩舎の強力タッグを考えれば、ファインルージュの3番人気は不当な評価だったのか…。そう思わせる完勝劇だった。

「ゲートの中でチャカチャカして少し出遅れたので心配したけど…」

ルメールは序盤をそう振り返ったが、人気の一頭クールキャットが早めに動いたことでよどみない流れに。結果的には展開、ポジショニングも味方することになり、直線では外から1頭だけ違う脚色で楽々と2馬身半突き抜けた。

「強かったね。直線ではゴールまですごく伸びてくれた。今日はライバルがいなかったね」と鞍上は〝力が違った〟と言わんばかりだ。

母は短距離志向で、自身の使い出しも芝1200メートル。スプリンター寄りの印象もあったが、見事なまでにあっさりとマイルを克服してみせた。

「道中は我慢できていたし、ゴール後も疲れていなかった。もう少し距離は長くても大丈夫そう」と見通しを語ったルメール。まだ気性面の課題は残すものの、一つひとつ課題をクリアしていっての重賞Vは「体も大きくなっていた。GⅠに行けるレベル。大一番ではスタートが大事になるので、(少し出遅れた今回と違って)いいスタートを切れるように」と名手に4・11桜花賞を意識させるに十分な内容だったようだ。

管理する木村調教師も「これでGⅠに行っても恥ずかしくない」とニッコリ。今後はオーナーサイドと相談したうえで、桜花賞を視野に入れたローテが組まれる。

歴史的にはGⅠに縁があるとは言い難いレースだが、今年のファインルージュの勝ちっぷりは師や鞍上の言葉通り、桜花賞への期待をいや応なく高めるもの。美浦のトップ厩舎がどんなローテを組み、どれくらいの成長を上積みして本番に向かうのか…。白毛の女王ソダシの対抗馬となる可能性を秘めた新星がここに誕生した。

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