村田諒太35歳バースデー 今年こそ待望ゴロフキン戦「トライ&エラー」で究極スタイル模索

バースデーケーキを前に笑顔の村田

WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)が12日に35歳の誕生日を迎えた。新型コロナウイルスの影響で34歳の1年間は試合ができなかったが、今秋に見込まれる日本ボクシング史上最大のメガマッチへ向けて充実した「トライ&エラー」に取り組んでいるという。

特製のケーキを横に対応した村田は「年齢イコール引退が刻一刻と近づいている。今は率直に試合がしたい」と話した。

言葉だけを取り上げると悲壮感が漂う。昨年から今年にかけては、WBA世界スーパーミドル級スーパー王者の〝カネロ〟サウル・アルバレス(30=メキシコ)とスーパーミドル級で対戦することで合意していたのをはじめ、試合を見込んだ日程が5度も消滅した。

不運を嘆きそうな状況だが、今年は4~5月に1試合、秋にはIBF世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(38=カザフスタン)との統一戦という青写真に向けて、日々充実した練習に取り組めているという。

なぜか。村田はこう現状を説明する。「一番大事なのはトライ&エラー。今はそれを繰り返していい時期」。国内には練習相手がいないため試合前は海外からスパーリングパートナーを招聘する。試合が決まっていない現在も、昨年のうちに在留資格を取って来日したパートナー2人と週3回スパーリングを行い、その中で「上体を高く、とかバックステップとかしています」(村田)と〝トライ〟する。いずれも「パワーがなくなる」という結果だったが、それが〝エラー〟だとわかったことが収穫だという。

試合前の練習では相手対策がメインで、思い切ったことはできない。それが今は「もっと良くなりたいというのあるし、それ(トライ&エラー)を繰り返して『これだ』と思えると迷いがなくなる」(村田)。モヤモヤを消し去り、良いものだけを取捨選択して強くなっていくことができているというわけだ。

スーパー王者への昇格は「IBFは最上位の王者じゃないと統一戦を認めてくれないから、WBAが後押ししてくれたと考えています」とゴロフキン戦実現に、運も向いてきたととらえる。スパーリングパートナーも2月まで滞在を延長して協力しており「それが一番ありがたい」(村田)。運と周囲の後押しを力に変えて、メガマッチへ突き進む。

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