フジと“ケンカ別れ”退社・長谷川豊氏の背中を押した「小倉智昭のコトバ」

小倉智昭(左)と長谷川豊氏

「自分の人生は、自分のためにこそある」――。フリーアナウンサーの小倉智昭(73)がMCを務めるフジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜午前8時)が、3月末で終了することが13日の放送で小倉から報告された。22年の歴史に幕を下ろし、朝のワイドショーバトルの主役が勇退する。同番組で13年間共演した元フジアナの長谷川豊氏(45)が、“恩師”の金言を明かした。

1999年4月に始まった「とくダネ!」で、小倉は一貫してMCを務めてきた。「同一司会者による全国ネットのニュース情報番組」最多放送回数の記録を更新中。病気休養などありながらも、鋭い視点で世相をブッタ斬ってきた。

近年は高齢や視聴率の苦戦により、打ち切り説が飛び交っていたが、ついに3月26日の放送をもって終了する。

14日で放送5595回を数えたが、同番組が始まった99年に入社し、すぐに担当した長谷川氏は「おそらく午前3時には起きて、資料を読み込んでいたのだと思います。7時からの番組打ち合わせでは、ほとんどのニュースが頭に入っていて、スゴいなあと思っていました。放送が終わると、ゴルフや会食に行ったりして精力的に動いたと思います。お疲れさまでした」とねぎらう。

長谷川氏は2012年、米ニューヨーク勤務時の経費不正使用を問われて、アナから外された。ただ、フジとは主張の食い違いがあり、これをきっかけにケンカ別れの形で13年4月に退社。その前月の3月、小倉は金言を授けていた。

その時、長谷川氏がフジ近くのホテルにいることを知った小倉は、自身のマネジャーを連れずに当時「とくダネ!」のキャスターだった笠井信輔アナ(57=現フリー)と一緒に長谷川氏のもとへこっそり駆けつけた。

3人で話をした後、笠井アナは後輩の長谷川氏に「なあ辞めるなよ。今後の人生、どうするんだ?」と心配して声をかけた。笠井アナをはじめフジの同僚アナたちは2~3年すれば同氏はアナに戻されると思っていた。

そして笠井アナが「バスの時間見てくる」と長谷川氏のバスの乗車時刻を確認するため、席を立った後だった。小倉がおもむろに口を開いた。
「笠井はああ言ってるけどさ…自分の人生っていうのは、自分のためにこそあると思うよ」

シャイで人の目を見て話すことが多くない小倉は、伏し目がちに、しかし長谷川氏の目をはっきり見て言った。同氏はただただ、うなずく。1分もしないうちに笠井アナが席に戻ってきた。

「あの時、退社について周囲の誰一人賛成しませんでした。応援してくれたのは小倉さんのみでした」

背中を押してくれた理由については「小倉さんがテレビ東京(当時は東京12チャンネル)を退社(76年)する時も周囲から相当言われたようです。実際、フリーになってもしばらくは仕事がなかったみたいで。いろんな苦労をして成功されました。だから、応援してくれたのでは」と思っている。

過去にネット上で叩かれた長谷川氏だが、今は自治体や企業などのPRを担う広告代理店の代表を務めている。あれから8年たっても、“恩師”の金言は糧になっているという。

長谷川氏に限らず、SNS上で誹謗中傷されがちな現代にあって、小倉の人生論は“周囲の評価なんか気にせず、ゴーイングマイウエーで突き進んでもいい”――と語りかけてくる言葉だ。

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