守備指標でみる12球団“最強”の二遊間は? 巨人が健闘、鷹は遊撃が流動的も安定

西武・源田壮亮(左)と巨人・吉川尚輝【写真:荒川祐史】

守備の総合指標「UZR」で評価した“二遊間の貢献度”

守備の要といえば、センターライン。中でも二遊間はチームの屋台骨として大きな役割を果たす。強いチームには必ずと言っていいほど鉄壁の二塁手と遊撃手がいるもの。そこで、12球団別の二遊間の頼もしさを守備指標で見てみたい。

用いたのは、守備全般での貢献度を示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」。リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだかを表す。検証には、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した。

○二塁手
巨人 18.3
西武 16.7
オリックス 10.5
ロッテ 3.7
広島 3.0
ソフトバンク 3.0
中日 -2.1
楽天 -4.3
ヤクルト -5.7
DeNA -12.3
阪神 -14.9
日本ハム -15.9

○遊撃手
西武 17.7
ソフトバンク 17.3
中日 9.8
巨人 9.2
日本ハム 4.1
オリックス 2.4
阪神 -2.3
楽天 -8.9
DeNA -10.3
ロッテ -11.6
広島 -12.2
ヤクルト -15.3

日本ハム遊撃は5位、二塁は最下位と対照的に

二塁では2位、遊撃ではトップの西武が、他球団と比べても圧倒的な数字なのがよく分かる。昨季は主にコンビを組んだ外崎修汰と源田壮亮の盤石ぶりが守備指標でも明らかに。平均的な選手に比べて二遊間でおよそ33失点を防いだことになり、チームの守備を支えている。

巨人も二塁でトップ、遊撃で4位といずれも上位に。昨季は吉川尚輝と坂本勇人のコンビが担った。ソフトバンクは遊撃で2位。川瀬晃、今宮健太、牧原大成ら固定されることはなかったが、総じて高いレベルを発揮したことになる。二塁は少々劣るが、シーズン途中からレギュラーをつかんだ周東佑京が奮闘したのは大きい。

二遊間で対照的となったのが、日本ハム。中島卓也が主に守った遊撃は5位ながら、二塁は最下位。レギュラーの渡邉諒の厳しい数値が反映される結果となった。中日も、京田陽太が全試合にスタメンした出場した遊撃は3位ながら、阿部寿樹が主に守った二塁は7位と明暗が出た格好に。広島は逆に菊池涼介の二塁は6位に入ったが、田中広輔の遊撃は“ブービー”となった。

両者ともマイナス指標となったのは、楽天、ヤクルト、DeNA、阪神の4球団。中でもDeNAは、柴田竜拓やソトらが守った二塁で10位、倉本と大和が主に守った遊撃で9位という状況に。ヤクルトも、昨季限りで退団したエスコバーが足を引っ張って遊撃で最下位。山田哲人が主に担った二塁は9位だった。

目に見える失策数や守備率だけでは分からない鉄壁を築く“貢献度”。今季はどの二遊間が頼もしさを見せてくれるのか注目だ。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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