【初場所】幕内明生「立浪部屋クラスター」をプラスに転じ快進撃5連勝

明生(左)は徳勝龍を寄り切り5連勝

〝逆境〟を跳ね返す快進撃だ。大相撲初場所5日目(14日、東京・両国国技館)、幕内明生(25=立浪)が幕内徳勝龍(34=木瀬)を寄り切って初日から5連勝。取組後は「いつもと変わらず土俵に上がっている。集中してやっていきたい」と表情を引き締めた。昨年12月に所属の立浪部屋で新型コロナウイルスのクラスターが発生。幕内天空海(30)ら11人の力士が感染する事態となった。

明生自身は陰性だったものの、2週間以上にわたって部屋全体の稽古ができなくなった。最初の1週間は部屋近くの自宅にこもり切りの生活。その後もしばらくは相撲を取る稽古ができず、力士たちは個別に体を動かす日々が続いた。明生は「やれることは限られていたけど、逆にやれることをやっていれば大丈夫かなと思った」と振り返る。

相撲が取れないぶん、四股などの基礎運動や筋力トレーニングで体力を強化。自身の動画を個人トレーナーに送って指導を仰いだ。一方で、稽古の中断期間中も常に感染した仲間を気遣った。明生は「みんなとLINEで、どんな症状なのかをやりとりしていた。なったものは仕方がない。悪化せずに戻ってきてくれてよかった」。ともに危機を乗り越え、部屋の一丸ムードも高まった。

今場所は両横綱が不在の上、大関陣ら三役以上の力士に早くも全勝力士はいなくなった。このまま明生が白星を積み重ねていけば、昨年2度あった平幕優勝も現実味を帯びてくる。

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