近年人気の「倉庫リノベ」はおしゃれな民家、個性的なオフィス、雰囲気のあるカフェなど、元ある建物の味わいが活かされた改装が可能。どれも工夫に富んでいて、古民家と同様に、倉庫の用途は、一般の住宅から店舗、企業のオフィスにまで広がっています。
今回は、倉庫を魅力的なカフェ空間にリノベーションした実例とあわせて、メリットや費用などを紹介します。
倉庫の魅力を活かしたリノベ事例
リノベーションをするとき、テーマを考え、イメージをしながら作り上げることが重要になります。そうでなければ、全体の統一性がなくなってしまうからです。近年、注目されているリノベーションの中でも、倉庫の魅力を活かしたユニークな事例を5つ紹介します。
広さを活かしたゆったりした店内
整然と鉄骨の梁が並んでいると、クールで、スタイリッシュな印象になります。インダストリアルで統一された、余計なデザインを加えない無骨さが魅力として際立ってくるでしょう。
カフェとして必要なテーブルやイスなどのインテリアも少なめに配置すると、落ち着きのある重厚感に包まれ、倉庫の持つ、ゆったり感を強く意識できる店内になります
海辺の立地はオーシャンビューが楽しめて素敵
倉庫に収められるものは船で運ばれるものも多いため、湾岸沿いに立地されている倉庫が多いです。海辺や工場地帯の夜景が見渡せる立地は、昼夜と問わず、カフェをオープンさせる条件としておすすめです。
オーシャンビューを楽しめるように、大きな窓を作り、窓際にテーブルとイスをセッティングすれば、それだけで満足度の高いカフェが誕生します。
独特なデザインでコンセプトのある店舗に
東京都内での倉庫リノベーションは、街のイメージを残ししつつ、いい意味でイメージを覆していくような店舗が登場しています。
【神楽坂】ラカグ(la kagu)
2014年、神楽坂駅前に誕生したラカグ(la kagu)は、新潮社の旧倉庫をリノベーションした商業施設で、サザビーリーグとコラボしています。「大人の遊び場」として、アパレル、雑貨、本、家具、cafeが揃ったセレクトショップです。
【日本橋・馬喰町】フクモリ
2009年、日本橋・馬喰町に誕生したフクモリは、日東リビングの倉庫をリノベーションしたスペースで、1階は「カフェ兼定食屋」でワークショップも開かれ、2階はオーナーのデザイン事務所となっています。
建物の高さ次第で、おしゃれな海外カフェ風に
海外の建物は横も縦も大きくて広い構造が多いです。倉庫なら、始めから海外の構造に近いリノベーションも可能になります。倉庫ならではの仕様で、床面積が広いのはもちろん、天井の高さでもっと床面積を広く感じさせることができるからです。
日本ではないような開放感に溢れ、おしゃれな海外カフェ風に大変身するのも夢ではありません。
ヴィンテージ、クラシカル家具などと相性抜群
独特な雰囲気を持つ、倉庫のリノベーションは、アンティーク感が漂う、ヴィンテージやクラシカル家具などとも相性抜群です。リノベーションで生まれ変わる倉庫カフェの世界に誰もが魅了され、非日常を味わえるでしょう。
重厚感ある雰囲気は夜カフェやBARに
重厚感のある落ち着いた雰囲気は、昼も夜も、洗練された大人が集まる場所を提供してくれます。ムーディな雰囲気を楽しめるバーへの切り替えや、人気の夜カフェなども検討してみましょう。
レトロモダンな空間にリノベーション!おしゃれな事例やメリットを紹介
倉庫をリノベーションでカフェにするメリット。その魅力とは?
何度でも足を運びたくなるようなカフェ作りには、おしゃれな外観や内装は重要です。倉庫のリノベカフェに訪れた際に、天井の高い、広い空間を心地よく感じる方も多いはず。
倉庫ならではの空間以外にも、倉庫の魅力は数多くあります。倉庫をカフェにリノベーションする例が増えている理由を探っていきましょう。
空間を自由に使いやすい
倉庫の広々とした空間を自由に使えることは、最大の魅力といえます。建物の構造がシンプルで細かく区切られてはいなため、どんな間取りにも変えやすく、部屋の数や大きさの選択肢も幅が広くなります。
間取りの制限が減るので、リノベーションのアイデアが詰まった空間づくりが可能です。
天井が高くて開放的
床面積が広く、天井も高い倉庫物件は、開放感においてとても優れています。日本の建物は狭く天井が低いものが多い中、倉庫カフェで開放的で非日常的な空間を提供できれば、他のカフェとも差別化しやすいです。
一般的に天井高に余裕がある物件が多いため、床面積が足りない場合には上に床を設置することで床面積(延べ床面積)を広げることも検討可能です。
ロフトをはじめ、吹き抜けの2階席を設けやすい
天井を吹き抜けにすれば窓からの採光も十分で、より開放的な空間を演出できます。倉庫の天井の高さを利用して、2階やロフトを作ってしまえば、延べ床面積が増えるうえに、隠れ家的なスペースになります。
無骨な雰囲気のある内装・外装がおしゃれ
せっかくの倉庫のリノベーションなら、内装や外装をそのまま活かすデザインもおすすめです。インダストリアルインテリアでは、コンクリートの打ちっぱなしや、むき出しの配管をあえて見せ、インテリアとしておしゃれに演出しています。
無骨な雰囲気を取り入れたカフェにしたいなら、倉庫や工場など、実際に工業製品が扱われていた空間にぴったりです。波打ったファザードなども個性のひとつ。
使用感のある深みのある見た目ならアンテーク調なものと相性抜群。ポップな色合いにして秘密基地のような雰囲気に演出することも可能です。
インダストリアルインテリアとは|おしゃれな実例9選と失敗しない家具の選び方
物件の取得費用・解体費用が抑えられる可能性
一般的に倉庫物件の賃料や販売価格は、通常の店舗用の物件に比べて低く、初期費用も維持管理費用も低く抑えやすいです。
リノベーションでは、内部の扉、押入れ、壁や柱などを全て取り除き、スケルトン状態から始めることが多いですが、倉庫は構造がシンプルな分、解体費用まで抑えられる可能性が高いです。
物件購入や解体のコストカットができれば、備品のランクアップをするなど、別のアイデアに費用を使えるので、理想のカフェに近づけやすくなります。
耐震性・耐久性に優れる鉄骨造
多くの倉庫は、鉄骨造です。その構造は、耐震性・耐久性に優れている、というメリットがあります。耐震性に優れていると言えども、安易な窓の設置は耐震性を害す可能性があるので注意しましょう。
築年数による補強工事で予算オーバーの可能性
ある程度の築年数が経っているものは、古い建物特有の渋い雰囲気が味わい深いもの。また、販売価格の安さに魅了されることもあるでしょう。
しかし、旧耐震基準(1981年以前)で建てられている場合は、補強工事が必要になる可能性があります。補強工事が追加となることで、想定外の費用に慌てないためにも事前にしっかりと確認が必要です。
倉庫をカフェにリノベーションする費用の目安
倉庫の購入価格は400万~1000万円が相場です。店舗経営の場合、基本的なリノベーション費用の目安は、500万~1000万円前後。内装も外装もリノベーションする際には、1㎡あたり30万円程度は想定しておきましょう。
カフェで一番コストのかかる水回りやキッチン設備に追加のコストがかかる可能性も。リストアップをしながら予算を決めていくことをおすすめします。
設備によって、改装費用は大きく変わる
飲食業をする場合、リノベーション費用は、住宅やオフィスと比べ、高くなる傾向にあります。水回りやキッチン設備に十分な整備が必要だからです。
コストダウンを狙うなら、倉庫の無骨さを活かしたデザインにして内装や外装に費用を抑えたり、リサイクル店などキッチン設備を購入したり、といったアイデアがあります。
物件選び・設備工事前のポイント・注意点
物件選びや設備工事には注意点が多いので、慎重に進めていくことが重要。後悔しないためにも、物件購入やリノベーションの予算を明確にし、あらゆる情報や説明を参考にしながら検討しましょう。
購入前に、ホームインスペクションという、建物調査の利用をするのがおすすめ。耐震性・断熱性・防音性が弱かったり、法律上で使用禁止のアスベストなどが壁に入っていないかなど、一見してもわからない構造部分も調査してもらえます。
調査専門の会社やリノベーション施工会社などで行っており、費用は10万円前後。フルリノベーションを採用する場合には、大変な工事になります。失敗を防げるのなら、調査費用は決して高くないでしょう。
断熱・採光・気密対策が必要なことを念頭に
倉庫は断熱性や気密性が不足している場合が多く、店舗で使用する場合には、基本的にそれらのリフォームが必要になります。立地によっては近隣トラブルを避けるために、防音対策もしておいた方がいい場合も。
もともと断熱・採光・気密の問題がない倉庫なら追加のコストが抑えられますし、物件選びの際は、それらの追加コストを考慮しながら選ぶようにしましょう。
窓の増設で価格が高くなりすぎるケースも
倉庫は、庫内への直射日光を避けるため、窓が少なく、小さめの窓が多いです。暗すぎて店のコンセプトに合わない場合やキッチンなどでの採光や換気の面で支障がある場合には、窓の増設も検討しましょう。
増設する際には、建物の耐震性を損なわないように、構造計算に対応できる建築士のいるリノベーション会社に依頼するのがおすすめです。
もともと窓がなかったり、設計上難しいところへの設置は工事費用もかさみます。小・中窓で10万~40万円ほど、 天窓で30万~50万円ほど、 キッチン窓で30万円前後が相場ですが、どこに窓を設置することが効果的なのかを施工会社へ相談することをおすすめします。
ガス・水道・電気などのインフラ工事が必要
倉庫物件が安い価格で手に入るといっても、ガス・水道・電気などのインフラが未整備かもしれません。一般的に電気は引かれていることが多く、水道はまちまちです。
引かれていたとしても、カフェで使用できるように容量を大きくするなどの工事や飲食店用の水回り(キッチン、下水、トイレ)の整備が必要なことが多いです。
ガスはイチから工事が必要なことがほとんど。配管工事に加え、排気や空調の工事も必要になります。これらも予算に計上しましょう。
店舗の面積・容量が経営規模に合うか確認
倉庫の立地は街から離れていることが多くなります。物件を選ぶ際には、店舗の面積・容量が経営規模に合うかの確認や、カフェの存在に気付いてもらうための立地にも注意しながら、いろいろな情報を集めるようにしましょう。
倉庫リノベーションの手順、工事期間
物件が決まったら、手順としては契約書を交わし、登記などの手続きに入ります。同時に、リノベーションの打ち合わせも進めなければなりませんが、設計から工事終了までの期間は、全体で3~6カ月ほどかかるでしょう。
設計の打ち合わせに1~2.5カ月、リノベーション工事に2.5~3カ月前後という内訳になります。あくまでも目安としての工事期間になるため、倉庫の大きさやリノベーションの規模によっては、もっとかかる場合もあり、施工業者との念入りな打ち合わせは必須です。
リノベーション終了後、「用途変更」手続きを
カフェの場合、用途変更の手続きが必要になります。リノベーションをした建物が「特殊建築物」に該当する場合や、用途変更面積が200㎡を超えた場合は、建築基準法にある「用途変更確認申請」を役所にする必要があるからです。
カフェは「特殊建築物」に該当し、倉庫の「物品の保管」用途から、「飲食店」用途になるため、用途変更面積が200㎡を超えなくても手続きは必要です。
「用途変更確認申請」手続きをするのは建築士となります。他にも、保健所への「営業許可」の申請が必要で、施工業社が書類を揃えて代行をしてくれます。申請に必要な費用も、数十万~数百万円ほど用意しておきたいものです。
税金やランニングコストに注意
カフェをオープンするにあたり、後に発生する税金や、ランニングコストにも注意が必要です。材料費や光熱費、賃貸の場合は家賃などのランニングコストもかかってくるため、500万円以上は資金として確保しておきたいところ。
事前に、銀行の融資や自治体の助成金・補助金の活用も視野に入れておきましょう。
固定資産税や都市計画税が上がる可能性も
これまで倉庫として利用してきた建物をカフェにすると、建物評価が変わるため、固定資産税や都市計画税が上がる可能性があります。
一般的には、建物の年数が経つと固定資産税や都市計画税は下がってくるものですが、リノベーションで新しくなった建物として評価されるからです。
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