北条氏照が寄進 座間市の神社、棟札が市重文指定

重要文化財に指定された棟札と所有者の古木さん

 座間市教育委員会はこのほど、鈴鹿明神社(同市入谷西2丁目)が所蔵する棟札を重要文化財に指定した。棟札には、小田原北条氏が社殿の再建時に寄進した記録が残っている。棟札としては市内最古級という。

 棟札は、神社仏閣などの建物の棟上げを記念して製作される板札。寄進者やその費用、完成日、祈願文などが墨書きされたもの。建物がなくなっても保存される例が多く、貴重な地域史料とされる。

 大きさは高さ58センチ、幅23センチ、厚さ2センチの尖頭(せんとう)形で杉材が用いられている。焼失した鈴鹿明神社の社殿再建に当たり、戦国時代の1556(弘治2)年に北条氏照が幼名の藤菊丸で寄進したことなどが記されている。

 氏照は、小田原を本拠に関東に勢力を拡大した北条一族の3代目氏康の次男。棟札の存在は、氏照が小田原に近い座間郷を含めた八王子地方の領主を務めていたことから社殿再建に協力したとみられる。

 市教委によると、棟札は昭和40年代に確認されていたが、調査不十分で文化財指定が見送られた経緯がある。保存状態は良好だが、文字全体になぞった痕跡があったことなどのためとされる。

 今回、赤外線装置で難読部分の解明が進むなどの研究成果があり、文化財指定に至ったという。

 棟札を所有する鈴鹿明神社の古木普総・代表役員(46)は「これからも地域の重要な歴史的史料として棟札を大事に守っていきたい」と話している。

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