ロッテが〝チェン代役〟を補強しない理由は「先発=佐々木朗」か

2年目の飛躍が期待される佐々木朗

1人足りない先発投手は〝あの男〟のためか。昨季のロッテはパ・リーグ2位と健闘した。今季は宿敵ソフトバンクを倒して悲願のリーグ制覇を達成したいところだが、オフの補強を見る限り不安は尽きない。先発枠の「最後の1枚」が未知数だからだ。

チーム打率が12球団ワーストでも昨季2位に躍進できた背景には、先発陣の踏ん張りがあった。FA移籍1年目の美馬がキャリア2度目の10勝をマーク。生え抜き勢も石川、二木、小島、岩下が奮起し、シーズン終盤には日米で実績十分の左腕チェン・ウェインが加入して見事にCS進出を果たした。

ところが、チェン・ウェインは昨年末に阪神へ移籍。本来なら球団は真っ先に穴埋め候補獲得に着手すべきだったが、現時点で補強に動く気配はない。となれば、現有戦力からの台頭に期待するしかないが、一軍実績があって開幕から先発の一角を任せられそうな投手は昨季16試合で2勝(5敗)を挙げたプロ3年目の左腕・中村稔ぐらいなのが現状だ。

これで悲願のリーグ優勝を成し遂げられるのか? 率直な疑問を球団OBにぶつけると「チームが外国人を含め先発投手を補強しないのは、あの投手への期待の表われでしょう」と返ってきた。〝あの投手〟とは〝令和の怪物〟こと佐々木朗希(19)だ。

プロ入り前から豪腕と評され、開幕一軍も期待されたが、体力不足を露呈。シーズンを通して一軍に帯同したものの、公式戦では1球も投げずにプロ1年目を終えた。この経緯を見る限り、今季開幕からいきなり先発ローテーションの一角を担うのは荷が重い気がするが、前出OBは「すでに球団側は先を見据えている」と、こう力説する。

「昨年体力作りに集中したことに加え、一軍帯同したことで佐々木朗はシーズンを戦うための調整法を肌で学んだ。これを少しずつ実戦で生かしていくのが今季の彼のテーマなのです。そのためには一軍で登板する場が必要なので、あえて球団側は流動的に使える先発枠を確保しておきたいのでしょう。本来この枠は競争で奪うものですが、現有戦力を見れば佐々木朗の潜在能力が飛び抜けているのは明白ですから。若手と競わせながらこの枠を使って佐々木朗を飛躍させるはずです」

プロ1年目は本人にとって不本意だったことだろうが、球団の期待値は今も変わらない。佐々木朗は今季も目が離せない存在だ。

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