【初場所】貴景勝が無念リタイア…左足首負傷より深刻な精神的ダメージ

途中休場となった貴景勝

無念のリタイアだ。大相撲初場所10日目(19日、東京・両国国技館)、大関貴景勝(24=常盤山)が、日本相撲協会に「左足関節靱帯損傷のため、今後約3週間の加療を要する見込みである」との診断書を提出して途中休場。師匠の常盤山親方(59=元小結隆三杉)によれば、3日目の幕内北勝富士(28=八角)戦で左足首を負傷していたという。

ただし、大関はその後もテーピングを巻くこともなく体を動かしていたため、常盤山親方は「そこまで痛いとは思わなかった」。本人も「不完全燃焼なので(相撲を)取らせてください」と土俵に立ち続けたが、9日目を終えて「これ以上取れないので明日(19日)から休ませてください」と申し出た。

普段から弱みを見せない貴景勝の〝ギブアップ〟。心配なのは肉体以上に精神的ダメージを受けた可能性があるということだ。大関は2年ぶりの優勝を飾った先場所後、「痛み」について、こう持論を展開していた。「脳はすごく大事。(場所後に)緊張の糸が一回切れてしまって『こんなところも痛めていたっけ』となった。脳さえ戦うモードにしておけば、痛いところとか結構忘れて感じないようになっているんだなと」

そんな〝相撲脳〟が、綱取り場所での重圧と黒星ラッシュで機能しなくなってしまったのか。それとも気持ちで、かばいきれないほどの痛みだったかは本人のみぞ知るところだが、ケガが癒えても自身の脳も戦闘モードに切り替わらなければ、カド番で迎える春場所(3月14日初日、エディオンアリーナ大阪)での復権に影響が出る恐れもある。

師匠は「しっかり治して3月場所に向けて最大限の努力をするしかない」と期待したが、再び力強い押し相撲を披露できるか。

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