佐世保の高齢者施設でクラスター 介護現場 緊張感高まる

 長崎県佐世保市の高齢者福祉施設2カ所でクラスター(感染者集団)の発生が確認された。20日時点で利用者と職員延べ12人が感染し、さらなる拡大も懸念される。高齢者の感染は医療提供体制の逼迫(ひっぱく)に直結する。市内の介護現場では緊張感が高まっている。
 感染者の1人は、クラスターが起きた「長寿苑」と「チューリップ」の両方で通所介護サービスを利用していた。朝長則男市長は20日の記者会見で、感染者が複数の施設を移動すればリスクが高まり「注意を喚起する必要がある」と強調。高齢者施設で素早く検査ができる環境を整える必要があると述べた。
 同市で発生したクラスター9件のうち4件は高齢者・障害者施設。高齢者は重症化リスクが高く、入院治療が長期化する傾向にある。市は市内約600の介護事業所に、利用者が複数の施設に通所するのを避けるよう要請する。
 クラスターが発生した2施設は安全が確認できるまで通所サービスなどを中止する。チューリップの担当者は「思い付く限りの対策はやってきた。これから新しい対策として何に取り組めば良いのか…」と頭を抱える。一方、他の事業所も警戒。同市の特別養護老人ホーム「あいのうら」の責任者は「緊張感を持って1日を過ごし、何事もなく終わるとほっとする。もうずっとそんな状況です」と現場の苦労を代弁した。


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