クラスター発生 「厳しい状況」 佐世保、高齢者施設事業者ら

 職員と入所者計4人の感染者が出た長崎県佐世保市の高齢者福祉施設で新たに職員1人の感染が確認され、クラスター(感染者集団)となった。高齢者は重症化リスクが高い。他の事業者も「市中感染が疑われ、厳しい状況だ」と警戒を強めている。
 クラスターが発生した市内の高齢者福祉施設では入所者、職員の検査が終了。面会を制限し、感染対策を実施した上で今もサービス提供を継続している。市は「利用者がいるので、サービスの一時停止は難しい」とする。
 「県や市は福祉従事者の検査体制を整えてほしい」。佐世保市相浦町の特別養護老人ホーム「あいのうら」の責任者はこう漏らす。現状では体調不良を訴える職員がいても、各施設で検査手配などをしなければならない。運用面の負担に加え職員らは「自分は大丈夫だろうか」という不安の中で働いているという。「少しでもリスクを減らせるよう行政でも対策を」と訴えた。
 入所者の家族の胸中も複雑だ。コロナ対策に伴う面会制限で、同市の女性(39)は市内の施設にいる80代の祖母と1年近く面会できていない。「会いたい気持ちを我慢している。大切な家族の命を預けているので、感染対策は万全にしてほしい」と話す。
 市内の別の高齢者福祉施設では23日以降、対面での面会を中止しリモートなどに限定している。施設関係者は「できるだけ家族に会わせてあげたいが、今はこの方法しかない」とため息をついた。


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