過去10回の国政選挙における有権者の投票行動について観察する。投票棄権者の数は?(データアナリスト・渡邉秀成)

2021年が始まりました。今年は衆議院選挙が予定されています。

選挙のたびに投票率の低下傾向について問題になります。今回は衆参国政選挙の投票率の推移を見て、棄権をした有権者の割合、有権者がどのような政党に投票したのかをグラフを利用して観察してみたいと思います。

まず、衆議院選挙、参議院選挙の投票率がどのように推移してきたのかを、都道府県別にグラフにしたものが下記になります。

全体的に投票率が低下傾向にあるのがわかります。投票率が高いと言われる鳥取県、島根県ですが、実際に投票率が高いことがこれらのグラフでも確認することができます。

これらの折れ線グラフは見ることが多いですが、投票率が高い地域と低い地域を色分け地図で表現すると下記のようになります。

地域ごとに投票率の高い地域、低い地域の特徴が見えると思います。
選挙の投票行動に限らず、一人ひとりの行動はなかなか変化しにくい事が多いので、地域ごとに投票率が高い地域、低い地域に変化が出にくいのかもしれません。

特に親が選挙で投票する環境で育った子供は、選挙権を得る年令になると投票する傾向にあることが各種調査結果からも明らかになっているので、そのようなことが地域別投票率の傾向に現れているのかもしれません。

 

 

ここまでは全体の投票率、市区町村別投票率の傾向について見てきたのですが、投票率ではなく投票数で見てみた場合どのようなグラフが現れるのかを見てみましょう。

第44回から第48回衆議院選挙の各選挙で有権者がどの程度棄権して、どの政党に投票したのかを1枚のグラフにしたものが下記になります。

まず目につくのが棄権者数の多さです。各選挙で最大得票数を獲得した政党でも棄権者数には遠く及ばないことがわかります。

同様に第21回から第25回参議院選挙においてもグラフで表現したものが下記になります。

こちらのグラフでも有権者の投票行動で棄権した人が最も多いことがわかります。また衆参両国政選挙で気づくのが無効投票数が100万票単位であることです。

衆参院両選挙で最大得票数を獲得した政党でも、棄権票の数には遠く及ばないことがわかります。

選挙で棄権をする理由として、誰に投票をしても同じ、誰に投票をすればわからないというものがありますが、今回の衆議院選挙では、新型コロナウィルス感染症に対する国の動き方を見て、どこの政党に投票するかを考えてみても良いかもしれません。

また、身近な問題に対して、各政党、国会議員、知事、市区町村長、市区町村議員がどのようなことを述べているのか、そして実際に行動したのかを基準に選択するのも一つの方法です。

今回の新型コロナウィルス感染症は、どのような議員を国会に送り出すのが良いのかについて、考えるきっかけを与えてくれているのかもしれません。

選挙が近くなると各政党、国会議員がさまざまな媒体でメディア露出度を高め、さまざまなワンフレーズスローガン等が溢れてくると思いますが、そのスローガンに行動が伴っているのか等をよく観察して、昨年からの各政党、国会議員の対応を思い出しながら、投票先を決めるのも良いと思います。

今回は国政選挙の投票率と棄権票数について観察してみました。

 

© 選挙ドットコム株式会社