【NBA】超大型トレードのネッツ ハーデン加入でチーム崩壊もある

ハーデン(右)はネッツ初戦でいきなりエンジン全開だったが…(ロイター=USA TODAY)

【KJ松井のCatch&Shoot(50)】先週の米プロバスケットボールNBAで最大の話題は、4チームが絡む超大型トレードが成立したことだ。その中心となったのがヒューストン・ロケッツからブルックリン・ネッツに移籍したジェームズ・ハーデン(31)。16日(日本時間17日)の新天地デビュー戦では史上初の快挙をやってのけたが、本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)はこの移籍がチーム崩壊のきっかけになる可能性も…と危惧する。

ハーデンのネッツでの初戦となったマジック戦では32得点、12リバウンドに14アシストを記録しました。新チームでの初戦で30得点以上してのトリプルダブルは史上初の快挙です。それだけの大物が動いた今回のトレードのきっかけは、ハーデンが「優勝できるチームに行きたい」と希望したことでした。

具体的なチーム名として挙がったのがネッツとヒート。ですが年俸4000万ドル(約41億5000万円)を超えるハーデンを獲得するには普通なら主力級との“交換”が必要。ネッツはそれを避けるためにペイサーズとキャバリアーズも交え、ハーデン以外に6人の選手が各チーム間で動くという超大型トレードにすることで、ともにNBA制覇経験のあるケビン・デュラント(32)とカイリー・アービング(28)を合わせた「ビッグ3」を揃えることに成功しました。

米国代表で一緒にプレーしたこともあるので、お互いの性格などもわかっていると思います。オールスター級が3人揃えば強くなるはずですし、マジック戦でのハーデンは周りを気持ちよくプレーさせているように見えました。ただ、これがいつまで続くのかな?という心配があります。
バスケットでの最優先事項は言うまでもなく「チームの勝利」ですが、トップクラスのスーパースターの意識にはここに「最後の勝負どころでは自分が決めて勝つ」というのが加わります。デュラントはウォリアーズで、アービングもキャバリアーズでNBA制覇をしています。ハーデンは優勝経験がないとはいえ、3年連続得点王の実績があります。

当たり前ですが、ボールは一つしかありません。勝負どころでは当然自分がシュートすると思っている選手が3人いるのをどうコントロールするのか。うまくできないとチーム崩壊ということになりかねません。就任1年目のスティーブ・ナッシュ監督(46)も難しいと思いますが、ここは腕の見せどころですね。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、昨季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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