【NBA】KJ松井がラプターズ・渡辺雄太に「3&Dプレーヤー」のススメ

ニックス戦に出場した渡辺(ロイター=USA TODAY)

【KJ松井のCatch&Shoot(48)】米プロバスケットボールNBAのトロント・ラプターズにツーウエー契約で今シーズンから加入した渡辺雄太(26)は、これまで2試合に出場。プレー時間は短いものの、持ち前のディフェンス力で着実にアピールしている。その渡辺に対して本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)は「エースキラーの『3&Dプレーヤー』になってほしい」とエールを送った。

渡辺選手は12月31日(日本時間1日)のニューヨーク・ニックス戦でラプターズ移籍後初出場。4日(同5日)のボストン・セルティックス戦でも終盤に約4分間出場しました。ツーウエー契約(各チーム最大2人)の2番手ということは、チーム内の序列は一番下になるので、いつ出番が回ってくるか分かりません。

ニックス戦では第1クオーター(Q)から出場しましたが、セルティックス戦では大差をつけられた第4Qでの出場。それでも約4分のプレーでしっかりアピールしていました。渡辺選手に求められているのは、まずディフェンスです。コートに立って最初のプレーでリバウンドを取ると、その流れの攻撃でスリーポイントシュートを決めました。

ラプターズはさらに6得点して、19点差が10点差に。セルティックスはたまらずエースのジェイソン・テイタム(22)をコートに戻します。試合終盤に点差がある、いわゆる「ガベージタイム」になりかけた状況でレギュラーを引っ張り出したのは価値あることですし、その後も使い続けてもらえたのはディフェンスで評価をしてもらえているということです。

実際にテイタムに対してもいいディフェンスをしていました。こうして相手のエースに仕事をさせない。例えば、いつも30点取る選手を15点に抑えると、自分は得点できなくても15点分チームに貢献したことになります。そうやって相手に「ユータに守られるのは嫌だな」と思わせることができれば“勝ち”です。

「エースキラー」ともいえるディフェンス(defence)の能力とスリーポイントシュートを決められる力を兼ね備えた選手を「3&Dプレーヤー」と呼びます。渡辺選手が守るのは相手の得点源のポジション。今後、誰を守った時でもコンスタントにパフォーマンスを発揮して、ぜひ「3&Dプレーヤー」になってほしいですね。

また流行性角結膜炎で開幕から欠場していたウィザーズの八村塁選手(22)も31日(同1日)のブルズ戦から復帰。インサイドでボールを持った時にクイックなプレーで相手にブロックされない動きをしていたのは昨シーズンからの進化を感じました。

スリーポイントシュートも積極的に打つようになっているので、今後も積極的にいってほしいですね。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、6年時にはイベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦した。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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