「保守分裂」でも「現職が街頭に立たない」コロナ禍の知事選!雪国・岐阜県が今アツい!【3】(フリーライター・畠山理仁)

1月7日の知事選挙告示日、私は岐阜県庁にいた。告示日の各候補の動きを取材するためだ。

告示日前日の1月6日午後14時半すぎ、私は古田陣営に告示日の予定を確認していた。その時の説明では「朝9時から県庁そばの選挙事務所で出陣式を行う」ということだった。

県庁前の古田肇選挙事務所

 

しかし、一夜明けた告示日の朝刊を見て驚いた。こんな見出しが踊っていたからだ。

「古田氏、全遊説取りやめ」

聞いてないよ!

1月6日、岐阜県内の新型コロナウイルス新規感染者数は過去最多(当時)の102人となった。それを受け、古田氏は知事としての公務を最優先させる判断をし、選挙期間中は候補本人が一切街頭に立たないという方針を地元メディアに発表したのだった。

記事を見た私があわてて事務所に問い合わせると、こんな答えが帰ってきた。

「今朝の新聞にあるとおりです。候補者本人は街頭に立ちません」

それでも選挙は進む。古田陣営では、古田氏を支援する国会議員や地方議員が「代理」として各地で遊説をしている。私が告示日に見た美濃加茂市のスーパー前では、渡辺猛之参議院議員が古田氏の選挙カーのマイクを握って、こう訴えていた。

「我々の陣営は苦渋の決断をいたしました。厳しい、厳しい戦いではありますが、この厳しい戦いに、候補者を一切、表に出さないという決断をいたしました! 今、この日本中が、いや、世界中がコロナで苦しんでいる時に、県民の命を守る、県民の暮らしを守る。それが知事の役割だと私はそう信じています!」

「私は、平時ならば、知事は誰がやってもいいと思います。4年やらしてみて、だめなら4年先に変えればいいんです。しかし今、ここで、我々が間違った選択をしては、命が奪われます。暮らしが壊れてしまいます。だから私たちは古田肇の経験と実績と、そして人脈を鑑みて、県民の暮らしのために、県民の命のために、古田肇のお願いをさせていただきたいと思います!」

古田肇氏の選挙カーで演説をする渡辺猛之参院議員

 

会場となったスーパーの駐車場には、雪の降る中、100人近い聴衆が集まった。弁士の熱い演説に呼応して大きな拍手も巻き起こった。

演説を聞きにきた人たちは熱い。しかし、買い物で通りがかった人たちがその輪に加わる様子を見ることはできなかった。

古田氏本人は街頭に立たない。しかし、県民にメッセージを伝えないわけにはいかない。そのため古田陣営では、ホームページに古田氏のメッセージ動画を掲載している。また、県内の首長が応援する動画もアップされている。Facebookでは「青年3市長が斬り込む! 今、古田はじめに問い詰めたい5つのテーマ+α」というオンラインイベントも企画された。

しかし、有権者は生の古田氏を見ることができない。古田氏はメッセージ動画で次のように語っているからだ。

「大きな集会を催さない。また、そういう場には出かけない」

現職知事の選挙運動はオンライン中心になっている。

 

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