アウディの新ブランドストア、世界に先駆けて日本にオープン

昨年はブランド初となるBEV(電気自動車)「e-tron」を日本でも発売したアウディの新世代ブランド店舗「Audi House of Progress Tokyo」が1月14日にオープンしました。これまでのクルマを見るだけのショップとは異なり、ブランドの歴史やデザインについて最先端のIT技術を使うなどまさに未来を体感できる店舗のようです。


世界最初の店舗は日本

今回オープンしたこのブランド店舗はアウディが全世界展開する「House of Progress」の第1弾です。

オープンの前日に先駆けて、日本法人であるアウディ ジャパンは年頭会見である「Audi New Year Press Conference 2021」を開催、代表取締役社長であるフィリップ・ノアック氏が2020年の振り返りと同時に2021年に導入予定の新型車、また販売現場におけるデジタル化についてオンラインでの発表会を中心に記者会見を行いました。

世界に先駆けてオープンしたこの店舗は東京都港区南青山にあります。周辺は高級ブランドの店舗が建ち並ぶエリアで、アウディの持つブランドやライフスタイルの提案なども行いながらテストマーケティングなども含め、新たな魅力を発信しようという狙いがあります。

最新のデジタル技術を体験できる

「Audi House of Progress Tokyo」は地下1階、地上2階のビルでフロアごとにそれぞれのテーマを持って来場者を迎えます。

1階のエントランスゲートをくぐるとオリジナルサウンドが鳴り、エキジビションスペースには未来のコンセプトカーが展示されます。オープン時には「Audi Q4 Sportback e-tron concept」が展示されていますが、その後は「Audi e-tron GT」を予定しているそうです。

地下に降りるとギャラリーとイベントスペースがあります。アウディブランドの歴史や哲学、デザインについても知ることができますが、プロジェクションマッピングやジェスチャーコントロールを組み合わせることでAR(拡張現実)のように本が読めたり、壁に書かれたワードを指さすとそのワードに関連したアウディからの未来へ向けたメッセージを知ることができるアトラクション性のある展示も体験できます。ちなみにこの「指差し」に関してもフロア内に設置された多数のセンサーが指とワードを位置を認識、自動運転やHMI(ヒューマンマシンインターフェース)の未来を感じ取ることができます。

イベントスペースに関してはスケジュール等は未定ですが、アウディによれば、ドイツ本社でのワールドプレミアのライブストリーミングイベントやデザイナーやオピニオンリーダーを招いたトークショーやワークショップを開催するそうです。特に昨今オンラインによる発表会が多い中、演出面でも新しい手法が求められていますので、その点でも情報発信基地としての役割を果たすわけです。

オーナー同士の交流の場

2階にはラウンジスペースが設置されています。天井が非常に高く、開放感が特徴です。ここではアウディオーナー同士の交流の場としての活用もイメージされており、サスティナブル素材に留意したドリンクやチョコレートなどの提供もあります。

2階ではこの他にLINEを活用し「未来の自分へのメッセージ」を送ると、ラウンジ内のデジタルサイネージに表示され、さらに1年後に送信者に向けて届くようになっているそうです。昔で言う「タイムカプセル」をIT技術で演出したような仕組みで、来場者は「自らの未来を考える」という時間を過ごすことができるわけです。

またこの期間中、最新のアウディの世界観を体験できる試乗イベントも開催されます。ピュアEVであるe-tronやハイパフォーマンスモデルも用意されており、車両説明を含め、60分程度の体験試乗も可能です。

まさにバーチャルとリアルの両方からアウディブランドを体験できるスペースと言えるでしょう。

なお、緊急事態宣言が出ている中、心配な部分はありますが、スタッフを含め全館抗菌コーティングを始めとした対策を行っているそうです。詳細はホームページ等で確認することができます。

電動化戦略の次の一手を公開

今回の発表と同時に昨年9月に発表された「e-tron Sportback 55 quattro」に続くモデルも発表されました。

これまでは5ドアの「スポーツバック」のみだったe-tronですが、今回バッテリー容量を減らすことで、より手に届きやすい価格設定とした「e-tron 50 quattro」と「e-tron Sportback 50 quattro」ラインナップしました。

バッテリー容量はこれまでのモデルの95kWhから71kWhに変更、航続距離も満充電で405kmに対し、316km(いずれもWLTCモード)と少なくなっています。

ただ走りに関してはボディ重量が軽くなる分、0-100km/h加速も6.8秒という俊足ぶり。快適性や運動性能に寄与するアダプティブ エアサスペンションは全車標準となります。

特にこれまで無かった王道とも言えるSUVデザインのモデルが追加されたことで選択肢も増えたことでさらに本格的な電動化戦略を推し進めていくことになります。

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