V長崎・吉田新体制の展望<3> 外国人選手 チームと調和が大切

昨季6ゴールを決めた一方でフル出場はなかったMFルアン。強力な外国人選手たちのパフォーマンスがカギを握る=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 V・ファーレン長崎の最大の強みは、J1のトップチームと比べても遜色ない外国人プレーヤーの存在。現状で南米勢5人の顔触れは昨季と変わらないが、FWエジガルジュニオが加入したのは昨年10月末だったため、開幕時点をベースに考えると事実上の戦力アップと捉えられる。
 V長崎はまだ、彼らのポテンシャルを十分に引き出せていない。昨季、チームの核になるとみられていたMFルアンは戦術面でなかなか順応できず、出場機会が限られていた。元コロンビア代表のFWビクトル・イバルボも序盤戦こそ大車輪の活躍を見せたが、以降は鳴りをひそめた。
 個性が強く、1人で局面を打開できる力がある外国人。それゆえに調和が難しく、扱い方を間違えばチームのスタイルを崩してしまいかねない。タレント集団だからこその可能性ともろさを、V長崎は抱えている。
 心強いのは、新たに就任した吉田孝行監督の経歴。神戸の監督時代、FWルーカス・ポドルスキやMFアンドレス・イニエスタら世界的プレーヤーを率いた経験がある。就任会見では「日本人だろうと外国人だろうと、若手だろうとベテランだろうと、人と人が接していることが大事」とコミュニケーションの大切さを説いていた。「宝の持ち腐れ」で終わらせない工夫が必要になる。
 ただ、その前段階で今季特有の問題もある。外国人選手たちがまだチームに合流できていないという点だ。
 外国人選手たちが今オフを母国で過ごしていたさなか、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大。入国制限が出される事態になった。政府とJリーグの規定で、外国人選手は入国後14日間の隔離措置が義務付けられた。外国人選手は沖縄での1次キャンプに間に合わず、早くても2次キャンプからの合流になると見込まれている。
 調整不足で開幕に間に合わないとなればチーム力の低下は必至。V長崎最大の強みは一転、短所になりかねない。ピッチ内外のマネジメント力が試される。


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