勝田貴元、モンテカルロで自己最高位の6位「ドライビングに自信を持てるようになった」/WRC開幕戦

 WRC世界ラリー選手権の2021年シーズン開幕戦モンテカルロが1月21~24日、モナコおよびフランスで開催された。このイベントを含め今季全ラウンドにトヨタ・ヤリスWRCで参戦している勝田貴元は、コドライバーのダニエル・バリットとともに伝統のラリーに挑むと、WRC自己最高位となる6位完走を果たし2年連続で選手権ポイントを獲得した。

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの下、2021年シーズンからWRC最高峰クラスへのフル参戦をスタートさせた勝田。その初戦は昨年、ヤリスWRCで初参戦し総合7位入賞を果たしたモンテカルロだ。
 
 WRC最古の歴史と伝統を誇るこの大会は、シリーズ中もっとも難易度が高いイベントとして知られる。その理由はターマック(舗装路)のコースに積雪や凍結区間が表れ、ひとつのSSのなかでも頻繁に路面コンディションが変化する、非常にトリッキーなステージ特性を持つためだ。

 勝田はそのような条件下で経験を積むため、完走を最優先としながら昨年以上のペースで走り続けることを目標に掲げて今季開幕戦に臨んだ。

 ラリー初日、勝田はミシュランに変わってコントロールタイヤを供給することになったピレリのタイヤ特性を理解することに注力。2本のSSでスピンを喫したこともあり、デイ1は総合11番手に留まった。しかし、翌日からはスタート2時間前にコースを走行し最新の路面コンディションを選手に伝える、グラベルクルーのインフォメーションを頼りにペースノートをアップデートし、走行への自信につなげペースアップを図った。

 このデイ2終盤のふたつのステージでSS4番手、5番手タイムを記録した勝田は総合8番手に浮上する。デイ3ではさらに順位を上げ総合6番手に。最終日のデイ4も最後まで順位を守りきった勝田は昨年を上回る6位でフィニッシュ。難関のモンテカルロで自己ベストリザルトを更新してみせた。

「この週末はトリッキーなコンディションのラリーを戦うなかで多くのことを学び、さまざまな経験を積むことができました。少しずつスピードも上がっていき、自信もついていきました」と週末の戦いをふり返った勝田。

「正直なところ、序盤はまったく自信を持てませんでした。新しいタイヤの特性を理解する必要がありましたし、コンディションや路面が変化するセクションでは慎重になり過ぎていました」

「それでも、グラベルクルー(ユホ・ハンニネンと、ハンニネンのコドライバーであるクレイグ・パリー)の助けを借りて、より多くの情報をペースノートに書き加えられたことで、自分のドライビングに自信を持てるようになりました。素晴らしい仕事をしてくれた、僕のグラベルクルーとチームに感謝します」

勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)

■「フラストレーションを感じるシーンも何度かありました」と勝田

 勝田のインストラクターも兼任するハンニネンは「今週末のタカの戦いにはとても満足している」とコメント。
 
「12月にテストを行なった時は真冬の路面コンディションで、彼はスタッド付きのスノータイヤを履いて走った。そのため、今回はターマック用のピレリタイヤの経験がまったくない状態でのラリースタートとなり、初日は本当に大変だったと思う」

「しかし、コンディションが変わりスノータイヤを履くと自信がついてきて、ステージタイムはすぐに上がっていった」

 ハンニネンは2020年も勝田のグラベルクルーを務めており、その変化を感じている。

「私は昨年も彼のグラベルクルーとして帯同していたが、昨年と比較すると、自信と経験を積んだことでより詳細なコンディション情報をペースノートに書き込むことができるようになっていた」

 トヨタのWRC復帰時にレギュラードライバーを務めたハンニネンは「彼はとても良いかたちでシーズンをスタートできたので、次のラリーには自信を持って、リラックスして臨むことができるだろう」と続けた。

 フラストレーションを感じることも何度かあったとしながらも、「ラリーを最後まで走り切り、このようなかたちでシーズンをスタートできて良かった」と語った勝田を待ち構えるのは第2戦アークティック・ラリー・フィンランドだ。
 
 新型コロナウイルスの影響で開催中止となったラリー・スウェーデンの代替ラウンドであるこのイベントは、スウェーデンと同じスノーラリーで、WRC初の北極圏での戦いとなる。勝田は以前、同じく北極圏のロヴァニエミ周辺(フィンランド)で開催されたラリーに出場経験があるため、その経験を活かした戦いが期待される。

勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)のペースノート
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)

© 株式会社三栄