本さえあれば怖くない。穂村弘の読書日記エッセイ『図書館の外は嵐』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『図書館の外は嵐』

歌人・穂村弘が本との出会いについてつづったエッセイ集。雑誌「週刊文春」の人気連載「私の読書日記」をまとめた一冊、新刊です。

旅先のお供に選んだのは? 夜中にコンビニで買ったのは? 読んでいる間ずっと幸福な気分だったのは? そして読む前から好きになっている本は……。

図書館の外は嵐 穂村弘の読書日記
著:穂村弘
出版社:文藝春秋

読書日記の中の本はどれも嵐の日の本棚のよう。そういう状況にぴったりな本をテーマに選んだのかと思うほど。外にはもう出られないからこの本どうぞと穂村さんに言われているみたい。

たとえば、著者が大好きだという「ひと夏の物語」もそのひとつ。素晴らしい夏休みを描いた作品は、たちまち読者を「魔法の季節」へと連れていってくれる。けれど、著者自身は特別な夏に出会えないまま大人になった。そしていまも「その眩しさを夢見ている」——。

本書では、絵本や漫画、歌集や句集、ミステリーやSF、海外文学まで幅広い分野から紹介。著者が気になる作品の世界を考察します。心の中も嵐になりそうなしびれる本がたくさん登場します。一冊の本から連想ゲームのようにほかの本へとつながっていくのも面白い。

本にまつわる著者の夢。それは、作者の行きつけの店のお気に入りだった席で、その人の作品を読むこと。この夢を穂村さんが最初に叶えたのは、西荻窪のお蕎麦屋さんでのこと、杉浦日向子さんの作品でした。本を通して著者の心のときめきや興奮が伝わってきます。

なにもかも忘れて本の世界に浸っていたい。嵐が通り過ぎるまでずっと。そんな甘美な誘惑に満ちた一冊です。

穂村弘さんの本、以前ご紹介したこちらもぜひどうぞ。
『にょにょにょっ記』

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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